日本で急激に進む高齢化に伴い、認知症についても大きな社会問題になっています。
特に銀行預金は、通常は本人以外が引き出すことができないため、認知症に伴うトラブルに発展するリスクがあります。
そこで今回は認知症後に親族が銀行預金を引き出す方法、それに備えた準備について解説します。
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高齢化とともに進む認知症大国日本!
日本の高齢化については有名な話ですが、数字で見るとダントツで1位であることに驚かされます。
国 | 65歳以上の割合 |
---|---|
日本 | 29.1 |
イタリア | 23.6 |
ポルトガル | 23.1 |
フィンランド | 23.0 |
ギリシャ | 22.6 |
出典:総務省「統計トピックス」 、 国連のWorld Population Prospects
高齢化を語る時には、いつも年金や医療費の問題が言われます。
もう一つ同じくらい心配な事として認知症患者の増加があげられます。
日本は認知症の有病率が最も高く(人口1000人につき25人)、80歳以上の人口の割合も最高値を示している(8.5%)
引用:OECDレポートより
レポートによると、日本の全人口のうち認知症患者の割合が2.5%も占めており、OECD加盟国の中で最悪です。
さらに今後、高齢化が進むことで、ますます痴呆症患者の割合は高まると言われています。
ボケた後に困るお金のアレコレ
両親や配偶者が認知症でボケてしまった場合、困ることの代表格として挙げられるのは「お金」に関する問題です。
生命保険、株式等の証券、預金など、どこにいくらあるのか夫婦間でさえ把握してないことがあります。
このような痴呆とお金の問題を解決する方法はあるのでしょうか?
生命保険の場合
生命保険は加入していることを把握してなければ、いざとなった時に保険金や解約返戻金を受け取ることができません。
痴呆になった親族が思い出せなければ保険は受け取ることができないのでしょうか?
実はこの問題を解決できる制度として、2021年7月から生命保険契約照会制度が始まりました。
保険契約の存在が分からない場合であっても、親族が生命保険協会へ契約有無を調べることができるようになりました。
照会するには戸籍や診断書などが必要と手間は少しかかりますが、契約者本人の意思がなくても親族が確認できる画期的な制度です。
生命保険契約照会制度の仕組み
証券口座の場合
証券口座においても生命保険と同様の制度があり、証券保管振替機構(ほふり)を通じて照会することが可能です。
本人以外の利用であれば相続人が照会することができ、ほふりを通じて全ての証券会社に対して口座の有無を確認できます。
証券保管振替機構:株式等に係る口座の開設先を確認したい場合
銀行預金の場合
生命保険契約や証券口座が相続人による照会制度があるのに対して、銀行預金には親族による照会制度がありません。
通帳があれば口座保有の有無を確認できます。
しかし、ネット銀行などの通帳がない銀行口座は気づくことができません。
昨今は店舗を持つ従来の銀行も通帳レスを進めているため、多くの人が銀行預金のありか問題に直面する恐れがあります。
銀行預金の対策はあるのか?
銀行預金の存在が分からない。
分かってもお金を引き出せないといった事態に備えて、いくつか対策があります。
対策① 銀行口座は1つに集約する
まず複数の普通預金や定期預金がある場合は、なるべく1つの口座に集約するように移管させておきましょう。
特に定期預金は本人が痴呆になると解約しづらくなってしまいます。
定期預金の金利は、せいぜい0.1~0.3%となけなしの金額しかつきません。
万一の時に備えて、早めのうちに普通預金へ移すようにしておきましょう。
対策② 銀行口座一覧と暗証番号を教えてもらう
一番簡単な方法は、銀行口座と合わせてキャッシュカードのありかと暗証番号を教えてもらう方法があります。
法的にも家計を共ににしている人であれば、自分以外の銀行口座からの引き出しは法的に禁じられてはいません。
一番シンプルで簡単な方法ではありますが、リスクもあります。
万一、キャッシュカードの磁気不良などで再発行する際に、口座保有者本人によるやりとりが必要になるのが難点です。
対策③ 代理人カード
本人が保有するキャッシュカードを利用するのではなく、本人に代わって親族が保有できる代理人用のキャッシュカードがあります。
前もって金融機関に届けておけば、親族が出金のみ可能となります。
この方法で複数枚の磁気カードを発行しておけば、磁気不良のリスクも軽減されるでしょう。
ただしこの方法は金融機関側が認知症になった後の利用を想定して作った仕組みではありません。
本人の認知症が進んだ後にカード紛失や磁気不良のリスクが残ります。
対策④ 代理人指名システム
認知症が進んだ後であっても、親族が銀行口座から出金できる方法として、代理人指名システムがあります。
本人の判断能力のあるうちに、本人自らが出金の代理人をあらかじめ指名しておきます。
本人の判断能力低下した後でも、指名された親族は窓口で出金することができます。
対策⑤ 家族信託(金銭信託)制度
本人が認知症になる前から親族に現金の管理を任せる契約として、家族信託制度があります。
本人口座から管理を任せた親族名義の信託口座に現金を移しておきます。
親族は信託契約で定められた目的に従って、現金を使うことができます。
認知症が進んだ後でも、親族の信託口座は引き続き使用できます。
1つデメリットを上げると、親族は管理をしっかり行う義務を課せられる点があげられます。
信託管理用口座のお金を利用するにあたり、帳簿を作成する義務が生じます。
使途不明金を防ぐメリットがある反面、管理の面倒さが出てきます。
まとめ
- 日本では急激に高齢化が進む中、痴呆を患う人も拡大している
- 痴呆に関わるお金の問題は親族にとって大きな悩みとなっている
- 生命保険契約や証券口座は親族が照会する制度がある
- 銀行預金には確認する方法がないため予め把握しておく必要がある
- 銀行預金の存在を予め把握しておいても、引き出しができなければ意味がない
- 元気なうちから、この記事でご紹介した様々な方法で引き出し可能な体制を作っておこう!
以上、本日はここまで。
それでは!
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