アメリカを中心にブームになりつつあるFIREという言葉を知ってますか?
英語の意味から火事?とか、解雇とかネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし最近流行りのFIREは経済的な心配をなくして早期退職するという、多くの人が憧れる人生スタイルを指します。
早期リタイアと聞くと一部の成功者や金持ちをイメージすると思います。
しかしFIREは一般庶民で経済的自由を実現する理論なので、非常に注目されているのです。
FIREとは
まずFIREの基本についておさえていきましょう。
FIREはどう読むの?どんな意味?
FIREとは “Financial Independence, Retire Early” の略語です。
直訳すると経済的独立と早期リタイア(退職)。
なるべく早くサラリーマン生活を終え、資産運用を経済的なより所として生活するライフスタイルを指します。
お金や資産があれば、やりたい仕事でなければ早くリタイアした方が幸せだよねと。
FIREはカナダの人気ブロガーであるピーター・アデニーが運営する「Mr. Money Mustache」の記事がバズったことで誕生したと言われてます。
今やカナダだけじゃなくお隣の大国アメリカでもムーブメントを巻き起こしています。
単なるSNS内の盛り上がりに留まらず、ニューヨークタイムスやウォールストリートジャーナルなど権威あるメディアでも大々的に報じられるようになりました。
無理だ!とか、リスクが高い!といった否定的な意見も多数ありながら、フツフツと盛り上がりを見せています。
FIREは語源が示す通りで、働かなくても済む経済的な独立を果たし、早く仕事なんてやめてしまおうぜ!という、一般人には理解できないけど何ともうらやましい思想です。
日本でもFIRE関連本は複数出ており、人気も高まってきているようです。
FIRE 最強の早期リタイア術 | FIRE 最速で経済的自立を実現する方法 |
なぜFIREが流行っているか?
日本だけでなく、先進国の多くが高齢化に直面していて、老後年金制度に不安が生じています。
日本でも年金の受給開始年齢が60歳から段階的に引き上げられ、将来的には70歳以上に引き上げられることが確実視されています。
好きか嫌いか微妙な仕事に人生の半分以上の時間を奪われます。
いくら平均寿命が延びたからといっても、いつまで健康でいられるか不透明で、お金の不安が常に付きまといながら働くことになります。
そんな不安と労働奉仕から抜け出す方法として、自力で貯めた資産で経済的に独立するFIREが注目されているのです。
ITの発展とFIRE
インターネットの普及により、情報やサービスへのアクセスが容易に可能となりました。
以前は株式など資産運用をするとなると、口座開設や取引にあたって大きな時間・労力・コストが必要でした。
しかし今やネット証券をはじめとするWebサービスを活用することで、楽に安く誰もが資産運用できるようになりました。
今後ますますITや金融はイノベーションが起きることが期待されているため、その進展とともにFIREがさらに拡大していくかもしれません。
FIREが掲げる経済的独立(自立)とは?
経済的独立といっても、独立できるタイミングがいつでもいいか?定年後や70歳を超えてからでいいか?
そうではなく、Retire Early(早期退職)したいわけですから、早く達成する必要があります。
私たち一般サラリーマンがまずやることは、
FIREの第一歩
- 若いうちから高い給料がもらえる場所を選ぶ
- しっかり節約をしてお金を貯める
- 貯めたお金で資産運用をする
キャリアの早い段階から高い給料をもらえる会社で働き、節約でしっかりお金を貯めて、貯めたお金をもとに資産運用するということですね。
若いうちから高い給料なんて無理と思う人もいるかもしれませんが、転職を繰り返してる筆者が思うに、業界や会社タイプをしっかり選べば可能だと思います。
例えば伝統的な企業よりも、ITやベンチャーなど伸び盛りで新しい考えを取り入れる会社は、比較的若くして給料がしっかりもらえる傾向にあります。
また新型コロナウイルスや自然災害の影響を受けづらい仕事をするという視点を入れることも、不確実な時代で生き抜くポイントになりそうです。
FIREムーブメントの中心は20代~30代の若者
リタイアという言葉から60代以上の姿を想像すると思いますが、FIREに向けて活動する人たちの中心は20~30代の若者です。
ビジネスで成功したり投資で一発当てた人など、裕福な生活を想像する人が多いと思いますが、FIREは一般の人が経済的に自立するための方法論であって、贅沢な生活を前提には考えられていません。
ストレスなサラリーマン生活から離れることで自由を手に入れることがFIREの目的であり、生活は最低限のコンパクトな暮らしでOKという現実的な方法論なのです。
このようなミニマリズムな価値観は、「若者の○○離れ」といった言葉があるように、贅沢志向や物欲を持たない傾向がある若年層ほど受け入れられています。
FIRE経済的自立の具体的な方法
ここまでFIREの概要やポイントについて説明してきました。
つづいてお待ちかねの具体的な方法論について見ていきましょう。
FIRE実現に必要なお金はいくらか?
いきなり早期退職と言われても現実味がないので、FIREに必要な貯蓄の目標金額を知りたいですよね。
FIREは質素な生活を前提にした早期リタイアであるため、比較的少ない資産でリタイアに踏み切ることが特徴的です。
ではFIREをいくらのお金でスタートするのがよいか?
様々な意見がありますが、アメリカでは「年間支出の25倍」が一つの目安と見られています。
年間支出が400万円なら、1億円(400万円×25)がFIREで早期リタイアするということですね。
なぜ年間支出の25倍でFIREが達成できるか?
年間支出の25倍ということは、25年しか生きられないじゃないか!
このような突っ込みをしたい人も多いと思います。
実は25倍というのは25年間で使いきるお金という意味ではありません。
支出の25倍のお金があれば、働かなくても元のお金が減らないことを指しています。
お金を使うけどお金が減らないって、意味が分かりませんよね。
そのカラクリですが、アメリカでは投資元本の4%までの支出であれば「支出 < 資産運用利益」が成立して、資産運用の利益によって生活費をまかなえるというわけです。
25倍ルールは学術的にも研究されており、アメリカのトリニティ大学が研究した金融理論で、資産運用の4パーセント未満に支出をおさえられれば、高い確率で30年以上も資産を維持できることが分かっています。
先ほどの年間支出400万円の例であれば、1億円×4%の利回りによって400万円の運用利益を出すことができ、支出をカバーできますね。
また支出の25倍という目安は年齢にかかわらず同じく適用できるため、どの年齢層でも使えるのもいいですね。
年間利回り4%は現実的か?
支出の25倍の貯蓄があればFIREがかなうことの前提には、利回り4%以上で資産運用できることがありますが、そもそも現実的に可能でしょうか?
米国の株式市場の長い歴史を振り返ると、年間平均7パーセントの成長率を続けてきたことが分かります。
物価上昇を考慮するために平均インフレ率の3パーセントを考慮し、差し引き4パーセントが理論値となるわけです。
このことから注意が必要なのが、年間利回り4%の前提がアメリカの株式市場である点です。
日本でFIREを試みる時もアメリカ株であれば再現するかもしれませんが、日本株で資産運用する際は注意が必要ですね。
早くFIREを実現したいなら支出レベルを下げる
上記例のように資産1億円なんて無理!と思う人も、支出を下げるとハードルが低くなります。
例えば年間支出を300万円まで減らすと、必要なお金は7,500万円になります。
このようにFIREは支出の見直しが大切な要素となってきます。
今の年収の25倍だと1億円以上の遠い道のりに思えるでしょう。
しかし節約で生活レベルを下げての年間支出25倍であれば、数千万円レベルの現実的な数字になります。
日本人はいくら貯めたらFIREを始められる?
総務省が行った2019年の家計調査の消費支出データによると、1世帯あたりの平均支出は月額24万9,704円です。
1年で考えると約25万円×12か月=300万円です。
FIREの25倍方程式に当てはめると、300万円 × 25 = 7,500万円です。
日本人平均で考えると、7,500万円貯めることでFIREが現実味を帯びてくるわけです。
節約で着実にお金を貯める
無理に節約すると長続きしないので、自分の価値観や心地よい水準で支出を最適化していくことが重要です。
特に費用削減だけが目的となってしまう節約は長続きしません。
自分にとってタメになって、且つ節約になるような方法を最適化手法として取り入れることをおすすめします。
そこで筆者がお勧めする支出の最適化手法を8個ご紹介するので、できそうなものはぜひ取り入れてみてください。
生活費の最適化8選
- コーヒーを買わずに、豆を買ってセルフドリップで美味しく安く飲む
- たばこは将来の健康に絶対悪なので即やめる
- 飲み会は新たな出会いやコミュニケーション向上など意義あるものを選ぶ
- 携帯電話プランは1年に1回見直して、最新の情報をゲット
- ちょっとの距離の外出は、車に乗らず徒歩や自転車で運動しよう
- キャッシュレス決済を積極活用してポイントをゲット
- ジムは公共施設で必要な時だけ通う
- 知識をインプットするため、図書館のネット予約を使って本をまとめ借り
まずは小さな一歩を踏み出そう
FIREに興味が出てきたら、まずは行動をしてみましょう。
ここまで説明したとおり、FIREにとって重要な要素はたった2つです。
- 年間支出を把握すること
- 4%以上の運用利回りを出す方法を確立すること
もしこの記事を読んで「経済的に自立して早期退職し、自分の好きな人生を自由に生きる」生き方に共感したら、まずは支出を計算してシミュレーションしてみたり、少額でもいいので資産運用を始めたり、始めの一歩を踏み出してみましょう。
以上、本日はここまで。
長文となり恐縮です、お付き合いいただきありがとうございました。
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