3年間の投資経験で見えたソーシャルレンディングの危険性やデメリット10選

ソーシャルレンディング

昨今、ソーシャルレンディングの人気が高まりメディアへの露出も増える中、投資を本格検討している人も多くいると思います。

 

しかしソーシャルレンディングは新しい金融商品ゆえ、リスクが気になって尻込みしている人もいるでしょう。

 

そこで今回は、3年間のソーシャルレンディング投資経験を持つ筆者が、10の危険性やデメリットを明らかにしながら、その解決方法についてご紹介したいと思います。

 

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ソーシャルレンディングとは?

ソーシャルレンディングとは、不特定多数から投資資金を募るクラウドファンディングを使い、個人投資家とお金が必要な企業をマッチングするプラットフォームです。

 

ソーシャルレンディングでは匿名組合契約を利用したスキームを用います。

 

投資家は匿名組合に出資を行い、匿名組合が借り手に融資を行います。

 

借り手は金利などの貸付条件に合わせ、匿名組合を通じて投資家へ元金や利息を返済します。

 

ソーシャルレンディングの危険性(リスク)3選

知らなかった・・・では済まされないソーシャルレンディングの危険性(リスク)について解説します。

 

既に大きな被害・損失を被っている投資家も多数います。

 

危険性(リスク)1 詐欺業者が参入してくる

いきなり「え・・・詐欺?」って感じしますが、被害が実際に起きています。

 

ソーシャルレンディングは新しい金融商品ゆえ、商品を提供する業者をチェックする金融庁など当局の体制・法規制が十分ではありません。

 

「だまして投資家から金を巻き上げてやろう」とか、詐欺までの悪意はないけど「誤魔化しながらあわよくば・・・」という事業者が参入してきています。

 

いくつか実例をあげてみます。

 

「みんなのクレジット」というソーシャルレンディングでは、投資金額に対して90%以上の損失を出す大事件が起きました。(10万円投資したら9万円以上は戻ってこない)

 

さらにこの事件が悪質な点は、ファンドの融資先が「みんなのクレジット」の社長が所属する別会社だったことです。

 

「みんなのクレジット」は投資家のために厳しく審査する立場にありますが、審査対象企業の代表が自社の社長となると、公正な審査ができると思いますか?

 

「みんなのクレジット」がグループ内の自転車操業に利用されたようにしか見えませんよね?

参考)みんなのクレジット|行政処分が決定!1カ月の業務停止、そして社長交代へ

 

他の事例も見てみましょう。

 

損失は確定してないものの「ラッキーバンク」や「グリーンインフラレンディング」といったソーシャルレンディング事業者も返済遅延を起こしています。

 

これら2社の事例を見ても資金流用や不正な融資審査など、普通の金融商品では考えられない行いが多発しています。

参考)ソーシャルレンディングで失敗!損する投資家が見過ごす5つのポイント

 

危険性(リスク)2 簡単には分散投資できない

投資の世界でリスクを下げるための王道といえば分散投資ですよね。

 

ソーシャルレンディングで分散投資できるか?というと、1つの事業者で多数のファンドを組成し、投資家の資金を募集しているため、一見は分散投資できそうに見えます。

 

しかしファンドの中身を見てみると、特定企業への融資ばかりが並ぶことに気が付きます。

 

仮に融資先企業がA社やB社と分かれて記載されていたとしても、実は同一グループ企業であることが大半です(この業界では一般的に行われている模様)

 

最終的にお金が集まるのが1か所なら、複数ファンドに投資してもリスク分散したことになりません。

 

このような状況でなお分散投資しようとするならば、ソーシャルレンディング事業者自体を分ける必要があります。

 

すなわちmaneo、クラウドバンク、クラウドクレジット、OwnersBook・・・と別々に口座開設を行い、管理していくことになります。

 

口座管理の煩雑さが辛いことは言うまでもありません。

 

危険性(リスク)3 無価値の担保が設定されることがある

ソーシャルレンディング投資の安全性を語る際によく登場するのが「担保」です。

 

担保とは、融資先企業の返済が滞るなどのリスクが顕在化した場合、担保を売却した資金で投資家元本を保全するための大切な役割があります。

 

「担保があるので万一の時も元本は安心!」とアピールするソーシャルレンディング事業者は多数あるのですが、本当に価値があるのか?まで言及できてないケースがあります。

 

上で紹介した90%以上の損失を出した「みんなのクレジット事件」では、投資家資金を集める際に「担保あり」と保全力をアピールしていました。

 

しかし蓋を開けてみると、担保とは融資先企業の「未公開株式」であり、価値がある代物ではありませんでした。

 

そもそも融資先企業が返済に苦しんでいるのに、その企業の株式を持っていても紙くず同然ですよね。

 

他にも太陽光発電の建設プロジェクトに融資するファンドなどは、土地を担保設定するのが一般的ですが、事業用の太陽光を建設する超・田舎の土地に価値がありますか?

 

現在、返済遅延が生じているグリーンインフラレンディングは太陽光発電など自然エネルギーファンドで有名ですので、既存投資家には残念な結末になると予想してます。(南無)

 

ソーシャルレンディングのデメリット7選

株や投資信託など、従来の投資商品と比べたソーシャルレンディングのデメリットについて7つご紹介します。

 

デメリット1 最低投資金額が高く小口投資できない

ソーシャルレンディングの最低投資金額は、最も低いところでも1万円に設定されています。

(引用:クラウドクレジット オフィシャルHP

 

新しい金融商品だけに、少額でお試ししたいと思う人は少なくないはずです。

 

100円や1,000円で投資信託を購入できる時代ですから、10倍~100倍もの資金力を要求されるのは辛いですね。

 

デメリット2 早期償還による機会損失

ソーシャルレンディング・ファンドにはあらかじめ「期間」の定めがあるものの、融資先企業には繰り上げ返済(早期償還)する権利があります。

 

投資家が1年間のファンドと思って選んでも、開始から1~2か月後に早期償還なんてことが日常茶飯事で起きます。

 

投資家にとって早期償還の辛い点は、機会損失が生じてしまうことです。

 

ファンドの運用開始前と運用終了後に、それぞれ半月~1か月程度のタイムラグが生じます。

 

このタイムラグの期間は利息が付きませんので、機会損失となってしまいます。

 

デメリット3 複利効果が働きづらい

効率的な投資手法として「複利」という考え方があります。

 

投資商品から得られる利息を再投資することで、雪だるま式に投資額を増やす戦略です。

 

ソーシャルレンディングにおいて投資家にお金が入ってくるのは、「分配金」と「元本返済」の2つの事由が生じる時です。

 

ソーシャルレンディングの「分配金」は毎月や数か月ごとに入ってきますが、数十円~数百円と少額であることが多く、再投資に必要な最低金額:1万円がなかなか貯まりません。

 

一方の「元本返済」は満期時にのみお金が入ってきますので、運用期間が長いファンドでは再投資できるタイミングが1年後や2年後になってしまいます。

 

再投資できないわけじゃありませんが、非常にやりづらいシステムになってます。

 

デメリット4 運用期間が長い

投資してから返済されるまでの運用期間は、7か月~12か月のファンドが最も多いと言われています(※)が、中には1年や2年を超えて5年に達するファンドもあります。

 

運用期間が長いということは、流動性リスクが高くなってしまうので注意が必要です。

 

運用期間の参考) クラウドポート社の運用期間の分布グラフ

 

デメリット5 流動性に乏しい(途中解約できない)

一つ上の「運用期間が長い」のデメリットをさらに悪化させる要因として、ソーシャルレンディングのファンドは基本的に解約できない点があげられます。

 

家族が急病に倒れて手術費用が必要であろうとも、結婚式の費用が予算より大きく膨らもうとも、どんなハプニングがあっても運用中の現金化は不可能です。

 

言い換えると、投資における3大重要リスクの1つである「流動性」が無いことになります。

 

そのため、ソーシャルレンディングに対しては余裕資金での投資をおすすめします。

 

デメリット6 匿名化の規制でファンドの情報が乏しい

ソーシャルレンディングは貸金業法の管理下にあり、同法は債務者を守る立場にあるため、貸付先のプライバシーを厳守しましょうというのが業界の通説です。

 

実際にソーシャルレンディングのファンド情報を見ると貸付先の企業名はおろか、規模感、社員数など、投資家に対する情報開示がほとんど行われていません。

 

<下図の赤線部分の通り、融資先企業はイニシャルで匿名化される>

 

融資先情報を知ることができないとなると、担保などの他の情報をあてにするか、ソーシャルレンディング事業者の宣伝文句を信用して投資するしかありません。

 

デメリット7 分散投資したら口座管理が大変

上の方で「危険性(リスク)2 簡単には分散投資できない」を解消するためには、ソーシャルレンディング事業者を分けるしか方法がないと説明しました。

 

しかし事業者を分けてしまうと、口座開設手続き以降もあらゆる手続き(ファンド申込み、運用、満期確認、再投資など)を別々に管理する必要があります。

 

私も10弱のソーシャルレンディング事業者で投資してますが、あまりにも面倒くさすぎて、主要3社以外の管理がどうしても雑になってしまいます。

 

株式や投資信託のように、証券会社口座を1つ開設すれば分散投資できるプラットフォームになればいいのに・・・といつも思いながら各社のマイページを眺めてます。

 

危険性やデメリットの回避策

ここまでソーシャルレンディングのネガティブな部分をつらつらと書いてきました。

 

一見すると「こんな金融商品嫌だ!」なんて思ってしまいそうですが、マイナス金利時代の世の中において、5%~10%台の利回りはやっぱり魅力的ですよね。

 

そこで筆者が考えるリスク軽減施策と、おすすめのソーシャルレンディング事業者をご紹介して、この記事のまとめに代えたいと思います。

 

リスク軽減施策1 少額、且つ分散投資を意識する

ソーシャルレンディングはローリスクの運用ではなく、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品です。

 

万一なくなっても大事にならない余裕資金を原資に投資することをおススメします。

 

それに加え、1つのソーシャルレンディング事業者で全額投資することは避けましょう。

 

1事業者内の複数ファンドに投資しても分散投資したことにはなりません。

 

信頼のおける複数の事業者で、且つ複数のファンドで運用するよう注意しましょう。

 

リスク軽減施策2 最大のリスクを徹底的に調べる

ソーシャルレンディングの最大のリスクは、サービスを提供するソーシャルレンディング事業者自身にあります。

 

これまで紹介した投資事故の例(みんなのクレジット、ラッキーバンク、グリーンインフラレンディング)を見ても、原因は全て事業者自身にあります。

 

事業者が怪しくないか?信用に値するか?を徹底的に調べ上げれば、上記の3社は防げたかもしれません。(少なくとも「みんなのクレジット」は防げました)

 

逆に信用力のあるソーシャルレンディング事業者であれば、リスクを最小限にとどめることができます。

 

筆者のおすすめは?

最後に私が個人的に安心を感じながら投資しているソーシャルレンディング事業者を3つご紹介します。

 

1つ目のmaneoは業界の老舗であり、実績NO1のソーシャルレンディング事業者です。

maneoの活躍は1事業者にとどまらず、GMOクリック証券と業務提携したり、他の事業者にソーシャルレンディングシステムを提供したりと、プラットフォームビジネスにも力を入れています。

グリーンインフラレンディングの件ではmaneoが行政処分を受けてしまいましたが、直接的に投資家へ迷惑をかけたのはグリーンインフラレンディングでした。

迷惑な投資商品を仲介してしまったmaneoにも、もちろん非があります。

この事件を機に管理体制の強化に取り組んでいるそうなので、より安心・安全なmaneoとなることを期待してます。


公式HP:maneo

 

2つ目のクラウドクレジットは、海外事業者への融資に特化したソーシャルレンディングで、海外ならではの高利回り案件が魅力です。

また伊藤忠商事やマネックスグループなどの優良企業から出資を受けるなど、業界内・外からの評判も高い事業者です。


公式HP:ソーシャルレンディングCrowdcredit

 

3つ目のOwnersBookは不動産専門のソーシャルレンディング事業者です。

2017年9月には運営会社のロードスターキャピタル社が東証マザーズ市場に上場しました。


公式サイト:OwnersBook

 

今回の記事では「ソーシャルレンディングは危険!」とのメッセージが強い記事となりましたが、魅力的な投資商品であることに疑いありませんし、私も投資を継続します。

 

やっぱり5%~10%の利回り商品なんて素敵じゃないですか!

 

世界のソーシャルレンディング市場はものすごく盛り上がっているので、日本でも法整備の進展とともに業界が一層盛り上がることになるでしょう。

 

信頼できる事業者をしっかり見極めて、ソーシャルレンディングの強みである安定的な利回り、インカムゲインを得たいですね!

 


以上、本日はここまで。

それでは!

 

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