共同通信社からうれしいニュースが届きました。
2017年~2018年にかけて日本を大きく騒がせた「かぼちゃの馬車事件」について、多額の不動産投資ローンを抱えたオーナーの借金が帳消しとなることが決まりました。
被害者による集団訴訟によって、希望者全員のスルガ銀行に対する借金(総額 約605億円)が免除されたのです。
パチパチパチ!
1億円前後の借金に苦しんでた人が多かっただけに、嬉しいニュースですね。
しかし解決したから良しとせず、ここから学ぶこともあるはずです。
そこで今回はかぼちゃの馬車事件の内容を振り返りながら、不動産投資詐欺の被害に合わない教訓について考えていきましょう。
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かぼちゃの馬車事件とは?
まずは事件の概要から見ていきましょう。
かぼちゃの馬車事件の登場人物
登場人物を整理すると、大きく3つの関係者から成り立っています。
1つは不動産投資で稼ごうとするオーナー、もう1つは不動産販売・管理会社のスマートデイズ社、最後にお金を貸したスルガ銀行です。
スマートデイズ社はシェアハウスを専門に扱う不動産会社で、個人オーナーに販売していました。
シェアハウスは都内近郊が多かったため、1億円以上する物件もざらにあり、オーナーは基本的に銀行融資に頼って投資を行っていました。
そこでオーナーが借入れる金融機関として使われていたのがスルガ銀行でした。
スマートデイズ社による詐欺的な物件販売
この事件の最大の問題はスマートデイズ社が販売する物件が法外な高値であった点があげられます。
市場価格の1.5倍や2倍ともいわれており、詐欺的な販売をおこなっていたのです。
ちょっと調べれば詐欺的価格に気づけたのに、オーナーは不動産投資の素人が多かったようで、スマートデイズ社の提示する価格で不動産を購入していました。
問題発覚を先送りにしたサブリース契約という麻薬
法外な価格で販売された不動産を賃貸に出す場合、高い家賃を設定しないと収益が出ません。
そんな賃貸物件を借りる人がいないと分かった時点で、詐欺は早々に発覚するはずでした。
しかしスマートデイズ社の抱える問題は、数年間も放置されてしまいました。
その原因となったのは「サブリース契約」にあると言われています。
サブリース契約はスマートデイズ社のような業者が不動産オーナーから物件を一括で借り入れて、オーナーには家賃収入を保証する形態の契約です。
スマートデイズ社はシェアハウスの入居者を見つける必要がありましたが、実際には高い空室率に苦しんでいました。
オーナーは毎月必ずスマートデイズ社から安定的な家賃収入を得ることができるため、不動産経営がうまくいってないことに気が付きません。
オーナーへの家賃保証はスマートデイズ社にとって赤字の垂れ流しとなってい、最終的にはお金が回らなくなり倒産してしまったのです。
サブリース契約終了=投資家の終了フラグ
スマートデイズ社が倒産すると、オーナーへの家賃保証をしていたサブリース契約もなくなりました。
そこでオーナーは、自分が保有するシェアハウスの高い空室率の惨状を目の当たりにします。
入居率が50%にも満たない物件が散見され、収益状態は最悪です。
銀行への毎月の返済、物件維持の管理費、固定資産税等が払えないオーナーが続出しました。
スルガ銀行は何が悪かったのか?
ところで、もう1つの登場人物であるスルガ銀行は何が悪かったのでしょうか?
全てはスマートデイズ社の詐欺が悪いわけで、スルガ銀行に非は無いと言えるでしょうか?
答えはNo!!
スルガ銀行は金融のプロなのだから、その不動産事業の成否を厳しい目で審査する責任があります。
家賃収入より借金返済の方が多いことを見抜ければ、不動産投資に融資を許可せずに、被害者も少なくできたかもしれません。
なお物件を売ろうとしても、もとが割高に購入していたため、借金を返せる金額で売却することもできません。
シェアハウスを売るも地獄、持ち続けるも地獄、それ以外の道はなし・・・
その地獄に耐えかねて自殺者も出てしまいました。
かぼちゃの馬車事件から学ぶ不動産投資における教訓
最後にかぼちゃの馬車事件から投資家が学ぶべき教訓について、筆者独自の見解を述べさせてもらいます。
教訓① 販売会社の不正は絶対に許すな!
実は、スマートデイズ社の不正を黙認していたオーナーもいたとの情報があります。
スルガ銀行の融資基準が緩かったと言われているものの、年収が低くて貯金がない人はさすがに断られました。
そこでスマートデイズ社は銀行の審査基準を逆手に取り、不動産購入希望者の貯金残高や年収を審査に合格する数字に修正していたことが分かっています。
また数字の修正を堂々と購入者に説明することもあったようで、購入者の中にはそれを黙認していた人もいたことが分かっています。
融資を受けることができたとしても、万一、不正がばれたら銀行から一括返済を迫られたり、訴訟を起こされたりするリスクがあります。
不動産販売会社の不正に気付いたら絶対に加担せず、指摘をしたうえで距離をおきましょう。
教訓② 不動産物件の基本:立地・利回り・空室率の3条件を押さえろ!
サブリース契約をしようがしまいが、不動産物件の3大要素は立地・利回り・空室率です。
3大要素はトレードオフの関係にあるため、全てが最高な物件はありえないのですが、少しでもトータルで高いレベルを求めることはできます。
何となくかっこいいからとか、何となく儲かりそうだからとかで、不動産投資を行うのは厳禁です!
3大要素の立地・利回り・空室率がその周辺立地の物件より優れているものが見つかったら、自信を持って購入しましょう!
教訓③ サブリース契約するなら、契約先と契約条件にこだわれ!
スマートデイズがサブリース契約を利用していたからといって、サブリース=悪だと思いません。
ぶっちゃけ筆者が所有するアパートもサブリース契約なわけで、健全に黒字状態が続いてます。
サブリースにはメリットがありまして、家賃が一定とあって長期的な計画を立てやすく、空室が出る度にドキドキする必要もないため、精神的に安定できる点が筆者は気に入っています。
一方で最大の難点はサブリース契約の締結先企業への依存度が高いことです。
もしサブリース契約先企業が業績不振で倒産危機に直面したら、家賃保証も危うくなります。
このリスクを回避するためには、サブリース契約先企業が「長く」「安定的」であることが重要になってきます。
サブリース契約先の財務情報を調べてみて、安定的な経営ができているでしょうか?
もし安定的だとしたら、長期に渡って安定性が維持できている会社でしょうか?
サブリース契約は20~30年の期間を見越して締結することが多いでしょうから、過去に同じ期間程度は経営が続いてる会社を選びましょう。
以上、本日はここまで。
それでは!
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