日本から遠く離れた島国:ニュージーランドで、日本人を対象にした盛大な投資詐欺が行われました。
被害者数は200人強、金額にして30億円強を騙し取られるという事件でした。
なぜニュージーランドでこれほど大金が被害に合ったのか?
詐欺の手口を調べて分かったのは、たった1つの常識さえ知っていれば防げたという残念な事実でした。
詐欺を起こした会社とは?
問題を起こしたのは、ニュージーランドのオークランドに本社を構えるイーストウィンドグループで、代表を日本人が務めていました。
イーストウィンドグループは関連7社から構成されており、移住支援や資産運用といったサービスを日本人向けに行っていました。
【グループ7社】
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イーストウィンドグループはワンマン経営だった
このグループ会社はアシカガ・マサトモ(通称トム・タナカ)によるワンマン経営で成り立っていました。
残念ながらアシカガ氏が2019年2月に死亡したことを契機に、営業停止状態となりました。
メールや電話で問い合わせても不通なうえ、オークランドのオフィスを訪ねても人っ子一人もいないそうです。
多額のお金を預けた辛い立場の被害者が、現地の惨状を以下の掲示板サイトで情報交換を行っています。
イーストウィンドグループはどんな詐欺を犯したのか?
ここからが本題で、事件の核心に迫っていきましょう。
グループ定期預金と為替取引の2商品を使った騙し
上図はイーストウィンドグループの投資商品パンフレットの写真です。
右側を見ると「グループ定期預金」という商品名が記載されており、10,000ニュージーランドドル(70~75万円くらい)を超えた投資を行うと、6か月で3%、1年で5%の金利が付くように見受けられると思います。
その他にも「アービトラージ手法」を取り入れた資産運用という記載もあります。
アービトラージとはマーケットの値段のゆがみを利用した投資手法で、主にFXや仮想通貨といったマーケットで用いられます。(今回は”円”と”ニュージーランドドル”の為替取引)
【アービトラージの関連記事】
このように定期預金と為替交換による利益で投資家に還元するビジネスモデルを掲げてました。
しかしこれらは全て嘘で、倒産後のイーストウィンドグループに残っていたのは7,000万円強と預かり金の31億円に対してわずか2~3%の残高しかありませんでした。
ここから分かるのはイーストウィンドグループは新しい出資者から得た資本を、既存投資家の利払いに使っていた、いわゆる自転車操業であった実態が浮かび上がってきます。
自転車操業=ポンジスキームと呼ばれる不正だね
そもそも無免許営業だった・・・
さらにイーストウィンドグループがお粗末だったのは、ニュージーランド国内の金融サービス業者としての登録がされてなかった点です。
無免許で堂々と投資家のお金を巻き上げていたことになります。
確信的な詐欺であったことは明らかでしょう。
イーストウィンドグループの詐欺を見破る方法
今回の事件を個人が回避する術はあったのでしょうか?
答えはYes!
たった1つの一般常識さえ知っている、もしくは調べることができれば誰でも防ぐことができました。
ニュージーランドの金利は何%ですか?
イーストウィンドグループ社のパンフレットによると、グループ定期預金は少なくとも年利3%~5%をうたっていました。
この商品は「定期預金」なのでニュージーランドの金利動向に連動するはずです。
そこでニュージーランドの政策金利の推移グラフを確認してみます。
2017年から2年程度は1%台が続いており、3%を付けたのはおよそ4年前の2015年までさかのぼる必要があります。
まして金利5%台となると、10年以上前のリーマンショックが起きた2008年に戻る必要があります。
こんな昔まで遡らないと無理な状況なのに、なぜグループ預金は3~5%と高金利で販売できたのでしょうか?(→ いや嘘で販売してるに違いない)
つまりニュージーランドの政策金利を知っていれば、イーストウィンドグループの嘘(詐欺)は確実に見抜けていたことになります。
今回の教訓
投資商品にリスクはつきものです。
元本は増えるチャンスもあれば、減るリスクもあります。
賢明な投資家が長期的にお金を増やすためには、減るリスクをなるべく下げる必要があります。
今回のニュージーランドの事件は、ちょっと調べれば嘘を見抜けたはずです。
新たな投資を行う際はしっかり情報収集して、自分自身の頭で考えることを忘れまいと改めて思いました。
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