ソーシャルレンディング最大手のmaneoで大規模な返済遅延が発生しました。
対象ファンドの総額は50億円にものぼり、私も3つのファンドで被害を受けています。
事態は返済遅延から融資先のデフォルト(貸し倒れ)に移りつつあり、通常の資金回収をあきらめて、担保不動産の売却が計画されているようです。
はたして投資したお金は戻ってくるのでしょうか?
他社を含む過去事例も踏まえて分析してみました。
maneoの返済遅延の概要
まずは今回の遅延に関して概要を説明します。
対象のファンドは?
2018年5月にC社の返済遅延の合計は約20億円と非常に大規模に発生しました。
対象ファンドは下表の通りです。
対象ファンド | 元本 | 借手 | 最終 貸付先 |
---|---|---|---|
1,000億円突破記念ローンファンド【第2弾】 1号~106号(79号・81号・83号を除く) | 約12億円 | C社 | CU社 |
1,100億円突破記念ローンファンド【第1弾】 1号~15号 | 約2.2億円 | C社 | CU社 |
1,100億円突破記念ローンファンド【第2弾】 1号~9号 | 約1億円 | C社 | CU社 |
1,100億円突破記念ローンファンド【第3弾】 1号~9号 | 約1.3億円 | C社 | CU社 |
1,100億円突破記念ローンファンド【第4弾】 1号~25号 | 約3.7億円 | C社 | CU社 |
上記ファンドに加え、2018年12月にはmaneoグループのガイアファンディングによる全セレクトファンドでも返済遅延が生じました。
こちらも総額20億円規模となります。
ファンド名 | ガイアファンディングセレクトファンド |
---|---|
合計ファンド数 | 92ファンド(11プロジェクト) |
合計残高 | 2,050,333,951円(11月1日発表分を含む) |
上記のC社案件とガイア案件を合計すると、約40億円規模という大規模事案です。
関連記事)181件のmaneoファンドで延滞が発生!投資元本の損失の恐れありでヤバい |
貸し倒れ、延滞ファンドの情報(2019年10月7日版)
maneoの貸し倒れや返済延滞ファンドの最新情報は以下の通りです。
maneoのホームページによると、上図の通り貸し倒れを示す【デフォルト】の数は0件です。
しかし配当金や元本の返済遅延を示す【延滞中】の案件が34ファンド、募集件数は569件、金額は91億円以上にのぼることが分かります。
それに対してファンドの募集は2019年7月を境に全く行われておらずという状況です。
問題ファンドの案件名や融資先企業をまとめてみました。
【融資先企業名】
- C社
- BY社
- DE社
- EO社
- AV社
【ファンド名】
- 不動産担保付きローンファンド
- maneoの虎ローンファンド
- 事業性資金支援ローンファンド
- 事業性資金支援ローンファンド
- 事業性資金支援ローンファンド
頭数にすればわずか5社ですが、金額で見ると90億円以上の個人投資資金が返済されてないわけですから、もっと大騒ぎになっていてもおかしくありません。
私が被害を受けたファンドは?
これだけの規模で返済遅延が起きた結果、私も以下の3つの該当ファンドを保有していました。
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合計16万円ほど投資していますので、これが返済されないとなると非常に痛い損失です。
各ファンドの返済に向けた現状
返済遅延が生じて以来、毎週のようにmaneoから進捗状況の説明メールが届きます。
トラブルが起きてもたまにしか報告をしない金融取引業者が多い中、maneoのきめ細やかな対応には好感が持てます。
報告によると、私が被害を受けたファンドはいずれも通常の回収をあきらめて、担保不動産の売却から投資資金の回収を目指しています。
融資先企業は倒産するのかもしれません。
それぞれ詳しく見てみましょう。
1.1,000億円突破記念ローンファンド【第2弾】15号
本件融資の担保対象となる不動産は、神奈川県川崎市内の土地及び建物です。
前回までにご報告いたしました東京都内の大手不動産会社の系列企業が引き続き購入を検討中であるほか、医業経営コンサルタント会社より紹介された医療法人との面談を行い、検討を開始いただいております。
また、12月12日以降、新たに問合せを受けた学校法人の内覧に同行し、ご検討いただいております。
なお、本件売却活動とは別に、対象不動産に対する競売の申立てを行っております。
幸いにも担保物件の購入を検討している法人があるようで、売買が成立してくれることを願います。
もし競売になってしまうと、担保評価額に対して大きく金額を落として落札となることが予想されるため、直接の売買が成立することを期待しています。
2.1,000億円突破記念ローンファンド【第4弾】4号
本件融資の担保対象となる不動産は、愛知県名古屋市内5か所所在の収益アパートです。
前回ご報告のとおり、東京都内の不動産業者及び横浜市の法人より上記物件を一括購入したいとの打診を受けており、引き続き、金額の提示待ちの状況となっております。
その他では、一括での売却のほか、物件毎の個別の販売活動も実施しております。
12月12日以降、新たに横浜市内の不動産業者より一括購入での問合せを受け、年明けの内覧にて調整いただております。
こちらも【第2弾】ファンドと同様で、直接売買の成立を目指すともに、個別の競売活動が行われているようです。
やはり担保物件が競売となる前に売却されることを願います。
ガイアファンディングセレクトファンド153号
maneoマーケット社による米国現地での対象不動産の確認及び調査について、12月20日までには一部案件についての調査報告をさせていただく予定でした。
アメリカ現地のパートナー企業との報告内容の確認および精査に想定よりも時間を要しており、投資家の皆様へのご報告を延期させていただきます。
こちらのファンドはガイアファンディングの運用となるため、maneoが直接的に資金回収できないファンドなので、上記のような曖昧な報告となっています。
噂ではガイアファンディングは全ファンドで返済遅延が起きているそうです。
maneoの2案件よりもガイアファンドの方が、元本を大きく毀損する懸念を持ってます。
貸倒れによっていくらお金が戻ってくるのか?
今回は融資先企業のデフォルトによって、担保物件から投資資金を回収する方法に移っています。
私たち投資家のお金はどれくらい戻ってくるのでしょうか?
他社を含む過去事例から分析してみたいと思います。
maneoの貸倒れケース(良い例)
実はmaneoは過去にも「事業性資金支援ローンファンド」で返済遅延を起こしたことがありました。
この際にも融資先企業は法的整理を受けたのですが、幸いにも投資資金を取り返すことができたため、回収率は100%でした。
(参考:maneoのHP)
このケースはデフォルトであっても良い例と言えるでしょう。
ラッキーバンクの貸倒れケース(悪い例)
国内不動産を担保にしてソーシャルレンディングを行っていたラッキーバンクですが、2018年前半に50億円という大規模な返済遅延を起こしてしまいました。
担保不動産の売却活動はうまく進まず、不動産を一括で債権回収業者に譲渡するスキームとなってしまいました。
総額50億円にも及んだファンドでしたが、売却額は16億円ということで回収率は約32%に留まりました。
ラッキーバンクは投資元本の68%が毀損したソーシャルレンディング業界の悪い例です。
みんなのクレジットの場合(最悪の例)
ラッキーバンクのデフォルト案件も辛いのですが、さらにそれを上回る最悪事例があります。
それは、みんなのクレジット事件です。
関連記事)みんなのクレジット|重要なお知らせ!これって詐欺じゃないの? |
「みんなのクレジット」では、「全ファンド不動産担保あり」と広告を出しておきながら、実際には未公開株式しか担保になっていませんでした。
結果的に投資金額に対して90%以上の損失を出す大事件が起きました。
想像してみてください。
10万円投資したら9万円以上は戻ってこないなんて最悪ですよね。
今回はいくら投資元本が戻ってくるか?
さて過去事例を踏まえると、今回の遅延ファンドはいくら戻ってくるのでしょうか?
まず貸倒れファンドを分類するとmaneo自身が募集するファンドと、ガイアファンディングが募集するファンドの2種類に分けられます。
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maneo側はそれなりにしっかりとした担保評価がなされていて、70%以上は回収してくれるのでは?と期待しています。(根拠ありませんが)
ガイアファンディング側はこれまでの動きの緩慢さから想像するに、ラッキーバンク~みんなのクレジットの間くらいの損失になるのでは?と悪い想像をしてしまいます。
70%~90%くらいの損失は覚悟して、期待せずに今後の展開を待ちたいと思います。
ソーシャルレンディング事業者を絞って投資します!
今回はmaneoの返済遅延について書きました。
最近はソーシャルレンディング事業者に関わる悪いニュースが多数出てきていますが、ソーシャルレンディング投資を全てやめようとは思いません。
高い利回りや担保付ファンドといった他の投資商品に無い魅力がたくさんあるため、今後も続ける予定です。
これまでは数多くのソーシャルレンディング事業者に手広く投資してきましたが、これからは投資先を何社かに絞って、リスク低減に努めたいと考えてます。
実際に集中投資を始めつつある3つの事業者をご紹介します。
1つ目はOwnersBookです。
不動産専門のソーシャルレンディング事業者であり、2017年9月には運営会社のロードスターキャピタル社が東証マザーズ市場に上場しました。
事業者が上場企業で、黒字で、ファンド全て担保ありという安定感に魅力を感じる人にはOwnersBookがおすすめです。 |
2つ目はクラウドクレジットです。
海外事業者への融資に特化したソーシャルレンディングであり、海外ならではの高利回り案件がずらりと並びます。
また伊藤忠商事などの優良企業から出資を受けるなど、業界内・外からの評判も高い事業者です。 |
3つ目はFunds(ファンズ)です。
従来のソーシャルレンディングは最終資金利用者が匿名、もしくは公表されても認知されてない中小企業であり、正直言って返済能力に疑問を持つ会社が多いという事実がありました。
しかしFundsではアイフル社やデュアルタップ社といった上場企業、もしくはその子会社が最終資金利用者になることで、上場企業の保証(もしくは連帯保証)によって安全性を高めることに成功しました。
2019年1月のサービス開始以来、秒殺でファンドが売り切れるほどの恐ろしい人気ぶりです。
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以上、本日はここまで。
それでは!
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