2020年に起きた新型コロナウイルスによる株式市場の混乱とともに、不動産の投資信託にあたるJ-REITも大暴落しました。
2020年4月以降、政府主導の経済対策が積極的に行われたことで、株式もREITも一定の落ち着きを取り戻しました。
2021年オリンピックという大きな節目を終えてJ-REITがどうなっていくのか?
J-REITの2021年の見通しについて、不動産種類ごとに筆者の考察を書きたいと思います。
過去記事「コロナショック後のJ-REITは買いか?」の答え合わせ
2020年4月に新型コロナウイルスが日本でも蔓延し始め、初回の緊急事態宣言に突入するさなか、J-REITに関する見通しの記事を書きました。
REITの割安度をあらわすNAV倍率(REIT価格に対する純資産価値の割合)が2012年以来の低い数値であることから、間違いなく「買いタイミング」であることを説明しました。
その結果はどうだったでしょうか?
東証REIT指数の推移を見ると・・
平均値を示す東証REIT指数を確認すると、記事を書いた2020年4月頃の1,500前後に対して2021年8月時点では2,100台なので、40%以上も値上がりしました。
2020年4月に「J-REITは買い」という記事の見解は正しかったことが分かります。
しかしコロナ前が2.300台だったことを踏まえると、コロナ前の数字に戻り切れておらず、今後の上昇余地があると考えています。
2021年オリンピック後のREITの見通し
オリンピック後もマーケットを動かす要因となるのは新型コロナウイルスです。
経済活動が回復するまでは景気刺激策が続くため、金余りによる資金流入でJ-REITも上がることが予想されます。
しかし不動産には様々なタイプがあるため、全てのREITが値上がりするわけではありません。
そこで筆者独自の見解ではありますが、種類別のJ-REITの見通しについて解説します!
住居系のREIT
コロナ騒ぎが起き始めた当初、地方や郊外への移住者が増えて、REITが投資対象とする都市部の住宅の値下がりが懸念されました。
しかし実際は住宅業界への悪影響どころか不動産売買は繁盛したため、J-REITの価格も順調に回復しました。
タカラレーベン不動産投資法人のチャート
タカラレーベンREITの動向を見ても、コロナ前の水準へ完全回復しており、なおかつ右肩上がりのように見えます。
今後の見通しですが、住居系のREITは買い推奨と考えています。
商業施設系のREIT
商業施設はコロナ発生当初こそ影響をモロに受けましたが、特に郊外のモール系の物件を中心に回復が堅調に進んでいます。
ショッピング系の商業施設は需要の維持を期待できるうえ、コロナワクチンの集団摂取会場という別の稼ぎ口を見つけるなど、コロナを商機ととらえる動きさえ出てきています。
一方で注意が必要なのがエンタメ系の商業施設で、「不要不急」なサービスと位置付けられ、時短営業や休業を余儀なくされることがあり、業績への悪影響が懸念されます。
イオンリート投資法人のチャート
休日のイオンモールがお客さんでにぎわっているのを見ると、上図の右肩上がりのチャートもうなずけます。
今後の見通しですが、ショッピング系の商業施設REITであれば買い推奨と考えています。
物流系REIT
「巣ごもり消費」なんて流行語が登場したように、コロナ禍で最も恩恵を受けたのがインターネット販売です。
物販系分野のBtoC市場規模は例年も右肩上がりだったのに加えて、2020年のコロナ恩恵によって飛躍的に市場希望を拡大させました。
(引用:経済産業省のレポートより)
そしてインターネット販売が伸びるほど倉庫や輸送などの物流施設へと投資資金が流れ込み、REIT価格も上昇しました。
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
三井不動産系列のREITのチャートでも明らかなように、2020年4月に一瞬だけ下落したものの、一貫してREIT価格が上昇を続けていることが分かります。
今後の見通しですが、オンライン販売の伸び、ますます物流需要が高まることが予想されているため、物流系REITは買い推奨と考えています。
オフィスビル系REIT
オフィスはリモートワークの拡大に伴い、オフィス空室率の上昇が懸念されていたため、2020年4月の落ち込みも厳しいものでした。
コロナさえ落ち着けば・・という楽観論も語られますが、2021年のデルタ株の猛威もあって、オフィスに人が戻るのは先になりそうです。
ジャパンリアルエステイト投資法人
上図はオフィスビルに投資するREITのチャートですが、2020年4月に大暴落した後に反発するものの、完全には値を戻しきれてない状況です。
今後の見通しですが、デルタ株が落ち着いてオフィス需要が戻る可能性もありますし、変異株が続くことでオフィス離れが進んでオフィス需要が減ってしまう可能性もあります。
値を戻す可能性もあれば、さらに下落する可能性もあるため、オフィス系REITには中立の立場で見守りたいと思います。
ホテル系REIT
宿泊業は新型コロナの影響を最も影響を受けた業種であり、REIT価格の回復の遅さにもその影響が顕著に表れてます。
GoToキャンペーンなどの景気刺激策で一時期は回復を見せたものの、コロナ蔓延の第二派・第三派の影響により海外旅行者は90%以上も落ち込み、国内旅行者も半分程度のままです。
いちごホテルリート投資法人
上図はホテルに投資するいちごホテルREITのチャートですが、2020年4月に70%ほど下落し、現在も価格が戻ってないことが分かります。
最近の国際情勢を見ると、日本よりワクチン普及が進んでいる国であっても海外旅行が解禁されるような動きはないため、宿泊業の回復はそう簡単に訪れないと予想されます。
以上より、今後の見通しは見送り推奨となります。
まとめ 2021年度のおすすめREIT銘柄
今回の記事のまとめると、筆者独自の見解でREITのおすすめ銘柄、逆におすすめしない銘柄は以下の通りです。
【買い推奨】
物流・住居・商業施設(ショッピング系に限る)
【中立 or 見送り推奨】
ホテル・オフィス
注目は新エネルギー系のREIT!
環境を意識したESG投資が広がりを見せる中、REITにおいても新エネルギー系の銘柄が注目を集めています。
新エネルギ系のREITは、太陽光や風力などの発電施設を保有し、賃料収入を得ることで、投資家へ分配金を支払います。
2016年に最初のREIT銘柄が登場し、2021年8月時点で7銘柄まで上場数は増えています。
新エネルギー系のREITの配当利回りは5~6%と他のREITに比べて利回りが高い銘柄もあり、つまり基準価格は割安で推移しています。
今後、世界的にESGの動きが活性化すれば、他のREITと同じ水準の配当利回りまで基準価格の上昇が期待できるため、注目しています。
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以上、本日はここまで。
それでは!
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