衝撃的な情報が飛び込んできました。
maneoグループのグリーンインフラレンディングに自転車操業の噂が流れているというのです。
グリーンインフラレンディングは、自然エネルギー事業に関わるソーシャルレンディングを展開し、年利10%を超える高利回りファンドで有名であり、多くの投資家を抱えています。
自転車操業が本当であれば、ファンドの返済遅延、最悪は貸倒れ(デフォルト)のリスクも出てくるわけですが、その真相はいかなるものでしょうか?
自転車操業とは?
自転車操業とは、慢性的な赤字状態でありながら他人資本を次々に回転(借金)させて操業を続けていく状態を指します。
走っているうちは倒れないが止まると倒れる自転車にたとえた造語です。
基本的にネガティブな表現として用いられ、事業がうまくいってない状態を偽りつつ借金を膨らませる悪い経営状況です。
ソーシャルレンディングと自転車操業
ソーシャルレンディングは企業への融資事業なので、悪意を持てば自転車操業のツールとして利用される可能性があります。
実際に2つのソーシャルレンディング事業者で自転車操業が疑われるような問題が生じました。
みんなのクレジット事件
「みんなのクレジット」に対する金融検査で、ファンド資金をグループ企業の運転資金に使う自転車操業が疑われるような管理不備が多数見つかり、2017年春先に金融庁から営業停止処分が下されました。
関連記事:みんなのクレジット|行政処分が決定!1カ月の業務停止、そして社長交代へ |
既に運用中ファンドの配当金や元本返済はしばらく続きましたが、2017年の夏ごろから返済遅延が発生し始めました。
そして2018年2月、みんなのクレジットは投資家から集めて融資していた31億円を、わずか1億円足らずで売却してしまったのです。
損失率は実に約97%!
私の記憶の中では、みんなのクレジット事件がソーシャルレンディング史上最悪のケースだと思います。
ラッキーバンク事件
国内不動産関連の事業者への貸し付けとしては業界でもトップクラスの高利回りで評判だったラッキーバンクですが、やはり金融検査の結果、2018年3月に業務改善命令を受けました。
ラッキーバンクもみんなのクレジットと同様で、貸付先の大半が代表取締役社長の親族が経営するX社であって、正しい融資評価を行わずして貸付を行った節があります。
場合によっては、X社の自転車操業の一環として「ラッキーバンク」が利用されたとみなされても仕方がないような状況でした。
ラッキーバンクもいくつかのファンドで返済遅延が生じ始めており、デフォルト(貸倒れ)の懸念が出始めました。
グリーンインフラレンディング自転車操業の真相は?
ここからが本題、グリーンインフラレンディングの自転車操業の噂について真相に迫っていきます。
情報の発端
グリーンインフラレンディングの疑惑は、アウトサイダーズ・レポートというWebメディアが報じたこちらの記事が発端となりました。
なぜ自転車操業と主張しているのか?
アウトサイダーズ・レポートの記事によると、以下の観点からグリーンインフラレンディングが自転車操業にあると論じられています。
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なるほど、全く根拠なくグリーンインフラレンディングを疑っているわけでもなさそうですね。
今回の噂を客観的に分析
自転車操業の疑いに対して、他から得た情報も加味して客観的な分析をしてみます。
アウトサイダーズ・レポートの半田氏とは?
情報源となったアウトサイダーズ・レポート(代表:半田修平)とは何者でしょうか?
彼は〈インサイダー〉とは一線を画し、独立した言論を展開する(アウトサイダー)を自負して情報発信しています。
特に大企業を中心に権力あるものに対する反発心が強いようで、様々な企業のネガティブな情報を見つけては、アウトサイダーズ・レポート内で記事にするスタイルのようです。
一種の冷やかしか?とも思える言動ですが、基本的に内部告発等の根拠ある情報を元に記事を書いているようです。
実際にいくつかの不正をあばいてきたようなので、代表的な1つの事例をご紹介します。
<事例>2014年 エナリスの粉飾決算事件
エネルギーエージェントサービスや電力卸取引を行う株式会社エナリス(マザーズ市場上場)について、約10億円の売掛金残高がある取引先「テクノ・ラボ」が実態不明の会社であると東京アウトローズ(アウトサイダーズ・レポートの半田氏が記事を執筆)が報じました。
エナリス社は東京アウトローズの記事に反論したものの、結果的に2014年第3四半期決算を当初の予定より一ヶ月遅れで発表し、通期業績見通しを下方修正しました。
連結売上高は期初計画を434億3300万円から349億円へ減額、最終損益は従来12億6900万円の黒字から21億5000万円の赤字に転落しました。
エナリス社は東京アウトローズによる粉飾決算の糾弾を認めた形となりました。
グリーンインフラレンディングに対する疑惑は本当か?
アウトサイダーズ・レポートが根拠なく嘘っぱちを報じるWebメディアでないとなると、グリーンインフラレンディングの自転車操業のレポートは本当でしょうか?
これらの疑惑をかけられたグリーンインフラレンディングは公式見解を表明しました。
他ファンドで調達した資金の流用について
当該案件の開発が当初の予定通りに進捗せず、結果として償還期限までに売却ができなかった場合、他ファンドでリファイナンスのために調達する資金であることを明記して募集を行い、これを原資として償還を行うことはあります。
他ファンドで募集した資金で償還金を支払ったのはリファイナンスによるもので、正しい募集の手続きを経て資金を利用をしているという見解のようです。
「みんなのクレジット」のように貸し手と借り手が実質的に同じである問題
「みんなのクレジット」のケースでは、架空の借り手への資金として募集し、実際は自社でその資金を使っていたことが問題でした。グリーンインフラレンディング社のケースでは、募集画面記載の通り、「C社」等の借り手に資金を拠出し、資金拠出先の借り手が実際に資金を使っています。
また、GILのスキームにおいては、貸し手は業法上貸金業の免許が必要であり、貸金業者であるエスクローファイナンス(以下「EFI」という)が第一義的に借り手の募集案件を審査するスキームとすることとしています。
なお、EFIの役員としてGILの2名が名を連ねていますが、「C社」が借り手の場合は、利益相反にならないよう、貸付判断に際しては関与しない仕組みとしています。
つまり募集文面通りの企業が資金を使っている点、そして貸付時の審査において利益相反とならないような仕組みがなされている点で、「みんなのクレジット」とは違うということです。
グリーンインフラレンディングは自転車操業の疑惑に対して真っ向から反対意見を表明しており、その発言内容は理路整然としているので、いったんは様子見といったところでしょうか。
しかしグリーンインフラレンディングの回答内容に嘘が含まれていないことを証明するのも難しいため、私はニュートラルな立場で事態を見守りたいと思います。
新規のファンド募集がストップ!
グリーンインフラレンディングのファンド募集が突如ストップしました。
こんな悪い噂が立っている中で、まさに最悪のタイミングです。
投資家の中には貸倒れ等を懸念する声が広がっています。
ファンド募集ストップの理由は?
グリーンインフラレンディングはファンド募集をストップした理由について、オフィシャルサイトで以下の通り公式声明を出しています。
1)対象ファンド名
- ① 【第15弾】バイオマス発電ローンファンド 第1次募集~第28次募集(募集総額 5億円)の内、第26次募集~第28次募 集分を停止しております。
- ② 【第21弾】メガソーラーローンファンド 第1次募集~第25次募集(募集総額 5億円)の内、第18次募集~第25次募 集分を停止しております。
2)募集停止の理由 当社において、対象ファンドに関して確認を要する事項の存在を認識したため。
3)今後のファンド募集予定 確認の結果を受け、募集再開の可否を判断致します。次回のご報告は、6月19日(火)を予定しております。
上記の声明を読んでお分かりのように、ファンド募集ストップの理由が詳しく説明されていないため、投資家は不安が募るばかりでしょう。
しっかりと情報開示して、何が起きているのか明らかにしてほしいですね。
ちなみにA氏の投資スタンスは?
私は以前から、自然エネルギーファンドにネガティブな印象を持っており、グリーンインフラレンディングに投資していません。
ネガティブな印象の理由は以下の通りです。
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総じて言うと、投資商品としての安全性に疑問があるからです。
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おすすめソーシャルレンディングは?
最後に私が個人的に安心を感じながら投資しているソーシャルレンディング事業者を3つご紹介します。
1つ目のmaneoは業界の老舗であり、実績NO1のソーシャルレンディング事業者です。 maneoの活躍は1事業者にとどまらず、GMOクリック証券と業務提携したり、他の事業者にソーシャルレンディングシステムを提供したりと、プラットフォームビジネスにも力を入れています。
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2つ目のクラウドクレジットは、海外事業者への融資に特化したソーシャルレンディングであり、海外ならではの高利回り案件が魅力です。 また伊藤忠商事やマネックスグループなどの優良企業から出資を受けるなど、業界内・外からの評判も高い事業者です。 |
3つ目のOwnersBookは不動産専門のソーシャルレンディング事業者です。 2017年9月には運営会社のロードスターキャピタル社が東証マザーズ市場に上場しました。 |
ソーシャルレンディングは新興の投資商品ではありますが、初期からビジネスをしている会社は5年以上も実績を出していますし、私のような投資経験者も増えてきました。
世界のソーシャルレンディング市場はもっと盛り上がっていて、日本も今後勢いが増していくと見られています。
まだまだ成熟期なので今回ご紹介したようなトラブルが起こる可能性は十分にあります。
信頼できる事業者をしっかり見極めて、ソーシャルレンディングの強みである安定的な利回りによるインカムゲインを得たいですね!
以上、本日はここまで。
それでは!
コメント
こんにちは。
「太陽光発電事業が斜陽産業であるリスク」ということですが、クラウドバンクはどうお考えでしょうか?
ソゼさん
コメントありがとうございます。
クラウドバンクを含むどのソーシャルレンディング事業者であっても、
私は太陽光発電関連の投資を避けています。
特にクラウドバンクの太陽光案件は利回りも低めですし。
実は、昨年間違って投資してしまった太陽光案件がありました。
無事今月に償還されましたので良かったです。
以後、気を付けようかと・・・。
今後ともManiManiをよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。そうなんですね。参考にさせていただきます。