前回の投稿では、国内金融機関のブロックチェーンの活用事例について書きました。
関連記事:ブロックチェーン|3つの国内事例から学ぶ金融機関の活用可能性 |
今回はワールドワイドに話を広げ、海外の企業、特に金融機関の活用事例をご紹介したいと思います。
ブロックチェーンは金融機関を破壊するほどインパクトのある技術と日本では言われますが、世界に目を向けるとどんな動向になっているのでしょうか?
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ブロックチェーンに対する海外の動向
日本ではBCCC(ブロックチェーン推進協会)とJBA(日本ブロックチェーン協会)を構成する多数の企業によって、仮想通貨やブロックチェーンの健全な普及、発展につなげようとする動きが主流でした。
海外の事例を調べたところ、やはり業界業種を超えた協業による推進が行われていることが分かりました。
特に世界のブロックチェーン推進を語るうえで外せない2つの団体があります。
R3 Consortium(R3コンソーシアム)
1つ目の団体はR3 Consortiumです。
米国のスタートアップ企業:R3社によって2015年に設立され、メンバーには世界の名だたる金融機関80社以上が名を連ねます。
R3コンソーシアムは、金融業界のDLT(Distributed Ledger Technology/分散台帳技術)のグローバルスタンダード確立に向け、世界規模で推進されてます。
参加する金融機関はブロックチェーンの実証実験を進めるなど、同技術の金融サービスへの活用を推進しています。
Hyperledger Project(ハイパーレッジャー・プロジェクト)
(引用:オフィシャルHP https://www.hyperledger.org/)
もう1つの団体はHyperledger Projectです。
ハイパーレッジャー・プロジェクトは、オープンソースのOS:Linuxを開発するLinux Foundationによって2015年に設立されました。
Hyperledger Projectの特徴は、参加メンバーの多くがIT系のテクノロジー企業(IBM、Intel、Red Hat、Cisco)であることがあげられます。
HyperLedger Projectは、分散台帳の課題でもあるシステムパフォーマンスと信頼性を改善することを目指しており、やはり取り組み自体も技術色が濃いようです。
海外の金融機関のブロックチェーン活用事例
国内動向と同じく、海外の金融機関もこぞってブロックチェーンのPoC(実証実験)に乗り出しています。
しかし海外事例は国内事例と違って、実用化にこぎつけている例もいくつかあります。
今回は実用化されたブロックチェーンソリューションを中心に事例をご紹介します。
One Pay FX(スペイン サンタンデール銀行)
スペインのサンタンデール銀行は、ブロックチェーン技術を基盤とする仮想通貨:Rippleを応用し、史上初の国際送金モバイルアプリOnePay FXを2018年にリリースしました。
ヨーロッパ内のサンタンデール銀行の顧客は、OnePay FXによって同日の国際送金が可能となります。
従来は国際送金に3~5日かかっていたということなので、非常に大きな影響を与えること間違いなしです。
One Pay FXで行える決済金額は米ドル換算で14ドル~1万4000ドルということで、1,500円から150万円程度と幅広く利用できます。
Rippleのネットワーク4製品の中の1つxCurrentを利用したOne Pay FXは、4大陸間の決済を少ない操作(3クリック)、且つ短時間(1分弱)で完了できるという。
サンタンデール銀行はOne Pay FXをさらに多くの国に広げるほか、他の金融機関にもアプリを利用してもらうよう働きかけをする模様です。
One Pay FXのもとになったRippleは、銀行間取引の世界的ネットワークを構築することを最終目的としたトークンとして有名であり、スピード、コスト、取引量に特徴があります。
スピードは平均3.3秒、コストは0.0004ドル(0.04円)、取引量は1500TPS(毎秒のトランザクション処理量)とも言われており、ビットコインより圧倒的に優位に立っています。
世界中の多くの銀行がブロックチェーン国際送金にRippleを試しており、日本でもSBIホールディングスが2017年、SBI Ripple Asiaと提携しました。
SBI Rippleは内外為替一元化コンソーシアムを結成し、12月には自社決済プラットフォームのRCクラウドを利用する日本と韓国による送金実験を実施しました。
内外為替一元化コンソーシアムは、2018年中の実用化を目指しています。
<Ripple活用をもくろむ金融機関の数々>
(引用:RippleオフィシャルHP https://ripple.com/solutions/)
NASDAQ Linq(アメリカ ナスダック)
(引用:Zero Uno https://www.zerounoweb.it/software/blockchain/finance-semplificare-la-vendita-di-titoli-e-non-solo/)
米国の証券取引所であるNASDAQ社は、2015年に未公開株式取引システム:Nasdaq Linqを発表し、初のブロックチェーンによるプライベート証券取引を成功させました。
Nasdaqは、従来から未公開株式取引市場「Nasdaq Private Market」を運営していました。
ExactEquityを補完するため、Nasdaq Linqにブロックチェーンを活用することで株式取引の「台帳化」を実現しました。
Nasdaq Linqは売買に関する機能だけでなく、電子株主投票システムも提供しており、遠隔からの議決権行使を可能にし、委任投票の管理も簡略化さました。
企業の株主には、持ち分に応じてトークンが配布され、代理人にそのトークンを移転することもできます。
従来は代理人による議決権行使は管理が困難でしたが、ブロックチェーンの導入によって大幅に改善されました。
ブロックチェーン国際貿易取引(米国 バークレイズ銀行)
英バークレイズ銀行がイスラエルのスタートアップ:Wave社との協業によって、世界初のブロックチェーン国際貿易取引を2016年に成功させました。
この事例によって国際貿易取引業務には膨大な時間と労力が必要とされますが、ブロックチェーン技術で劇的に効率化することが可能であることが証明されました。
通常の国際貿易取引業務は、取引開始前から大量のデータや確認事項を要し、7日から10日かけてようやくすべての業務が完了します。
ここにブロックチェーン技術を採用することで、買い手・売り手・銀行・トランスポーターなどすべての取引関係者が共有可能なプラットフォームを構築できます。
取引プロセスのスピードアップと事務処理の大幅な効率化を図る画期的な試みでした。
国際貿易に対するブロックチェーン活用の試みは、アイルランドの大手農産食品会社、Ornaと、インド洋に浮かぶ共和国:セーシェルの配送会社、セーシェル・トレーディング・カンパニー間の取引を対象に行われました。
Waveが開発したブロックチェーン・プラットフォームから国際銀行間金融通信協会(Swift)の決済システムを通して行われ、10万ドル(約1005万円)相当のチーズとバターがわずが数時間で海を隔てて取引されました。
結果的に時間とコストを大きく削減できたのです!
今回は海外の金融機関のブロックチェーン活用事例をご紹介してきました。
さすが海外事例だけあって、貿易分野に活用の予知を見出す金融機関もあったりと、ますます可能性が広がっているように感じますね。
今後も、海外金融機関の気になるブロックチェーン活用例があったら、ブログで共有します!
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以上、本日はここまで。
それでは!
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