ビットコインの基幹技術にあたるブロックチェーンを巡って、企業がすさまじい勢いでPoC(Proof of Concept:実証実験)を積み重ねてます。
特に金融機関に与える影響が大きいと言われており、アクセンチュア社の試算によると銀行のインフラコストを30%削減できる可能性があると試算されています。
そこで今回は国内の金融機関の事例を学ぶことで、金融機関におけるブロックチェーン活用可能性を調査したいと思います。
参考レポート:アクセンチュア社 Banking on Blockchain: A Value Analysis for Investment Banks(外部サイト) |
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ブロックチェーンに対する国内の動向
国内・海外を見渡すと、ブロックチェーン実用化への動向には1つの特徴があります。
その特徴とは、業界・業種を超えた協業による推進が盛んな点です。
実際には、国内では業界団体ブロックチェーン推進協会(BCCC)と日本ブロックチェーン協会(JBA)が設立され、技術的な課題への取り組みがスタートしてます。
ブロックチェーン推進協会(BCCC)の設立
BCCCは日本におけるブロックチェーン技術の普及や研究開発推進のため、2016年4月にテックビューロ社を中心に発足しました。
発足当初の加盟企業はブロックチェーン技術を推進する企業を中心に加盟社数34社で構成されました。
現在は、ブロックチェーンの活用を検討中のユーザー企業にシステムを提案するSIer(システムインテグレータ)など46社が加わり、80社にも膨らむ大規模組織となってます。
なお金融機関も数社がBCCCの会員企業となってます。
【金融機関でBCCCの会員企業とは?】
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日本ブロックチェーン協会(JBAの設立)
日本ブロックチェーン協会は、仮想通貨やブロックチェーンに対する国内での注目の高まり、利用者の増加を受け、健全な普及、発展に貢献するため、bitFlyerを中心に設立されました。
なおJBAも多くの金融機関が企業となってます。
【金融機関でJBAの会員企業とは?】
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JBAの方が有名で大企業が名を連ねているようです。
国内金融機関のブロックチェーン活用事例
ブロックチェーンは金融業界に多大な影響をもたらすと言われており、国内金融機関はこぞってブロックチェーンのPoC(実証実験)に乗り出しています。
国内金融機関の事例を調べたところ、まだ実証実験中、ないしは社内等の限定実用化にとどまるような状況でした。
いくつか代表的な事例をご紹介します。
MUFGコイン(三菱UFJ銀行)
引用:https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel180214a6.pdf
最初の事例は、メガバンク:三菱UFJ銀行による仮想通貨の発行の事例です。
MUFGコインはあらゆる金融行動で利用されることを想定した仮想通貨です。
金融行動とは買う、貯める、消費する、交換するなど様々な経済的行動を指します。
異業種が独自コインを発行する際の基盤技術としての提供も想定しています。
銀行側のメリットとしては、手数料よりも蓄積したデータを活用して新しいビジネスにつなげることを目的としているようです。
2018年8月現在は既にPoCを終え、社内での試験利用に移っているようです。
三菱UFJ銀行の社内や下の写真のような外部イベントで利用されています。
(引用:https://innovation.mufg.jp/detail/id=213)
3メガプロジェクト
(引用:IT Media http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1710/10/news071.html)
みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループのメガバンク3行共同で、ブロックチェーン技術を活用した個人間送金サービスの実証実験を、2018年から行っています。
3行は富士通のクラウド基盤を活用し、個人間送金のアプリケーションを開発します。
基盤構築だけでなく、スマートフォン用アプリも開発し、アプリから送金や入出金の手続きを簡単に行えるようにする模様です。
3メガ銀行が協力し合ってなんて、筆者はほとんど目にしたことない状況です。
消費者のことを真剣に考え、良いサービスを作ってほしいものです。(でも個人間送金アプリはブロックチェーン使わなくてもできるし、既にあるんだよな・・・)
実証実験では以下のポイントを正確・安全にできることを検証し、評価するようです。
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保険金支払い業務への適用(東京海上日動)
(引用:http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/170124_001.pdf)
東京海上日動火災保険は、米Planetway Corporationのデータ連携技術を活用し、医療機関などにおけるブロックチェーン技術の活用に向けた実証事業を開始しました。
実証実験は、福岡地域戦略推進協議会(FDC)と連携してエリア限定で実施するようです。
Planetway社はエストニアの国民番号制度を支えるセキュリティー技術を適用したデータ連携基盤「avenue-cross」を開発した企業です。
avenue-crossとブロックチェーンを合わせて活用することで、医療データと保険金請求・支払いデータを連携させ、保険金支払いにおける一連のプロセスを実現させるようです。
現状は必要つど保険会社が医療機関と情報のやりとりを行うという大変煩雑な業務になっているのでしょう。
実証実験がうまくいけば保険会社はすぐに必要データにアクセスできるようになり、保険金支払い事務プロセスが効率化され、顧客へ迅速な保険金支払いが実現できるでしょう。
他にも国内金融機関のPoC事例は多数あるのですが、キリがないのでいったんここまでのご紹介にとどめておきます。
PoCの結果、仮にやりたいことが実現できたとしても、それが実用化されるかどうかは未知数です。
例えば3メガバンクの個人間送金にしたって、ブロックチェーンを使わなくても既に実現できているアプリがあります。
消費者、もしくは企業が何かしら大きなメリットを見出すことができなければ、プロジェクトはとん挫することになるでしょう。
引き続き、国内金融機関のブロックチェーン活用の取り組みに注目していきます。
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以上、本日はここまで。
それでは!
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