2017年にビットコインから分裂(ハードフォーク)で誕生したビットコインゴールドを扱う取引所に対して51%攻撃が行われ、不正取引が起こったと大騒ぎになっています。
大騒ぎの理由は、51%攻撃による不正取引がブロックチェーンの技術的な安全性を揺るがす事件であるからです。
51%攻撃とは何か?ビットコインにも悪影響を与えるのか?
詳細を調査してみました。
ビットコインゴールドとは
ビットコインゴールド(BTG)はビットコインのブロックチェーン(Bitcoin Core)から491,407ブロックのハードフォーク(分裂)で誕生したアルトコイン です。
主導したのは香港のマイニング企業です。
既存のビットコイン投資家はBTGの取引を楽しみにしていましたが、BTGはリプレイアタックに向けた対策が不十分であるなど投資家へ不利益が生じる懸念から、国内で取り扱う取引所はありません。
ゆえにBTGの取引をしたい人は、海外の取引所を使うしかありません。
仮想通貨の51%攻撃とは?
今回、BTGの取引所が受けた51%攻撃とはどういった手法でしょう?
それを理解するためには仮想通貨取引の仕組みに関する知識が必要なので、そもそも仮想通貨取引とは?から解説します。
仮想通貨取引の仕組みをおさらい
仮想通貨は国など単一の発行体がない通貨です。
そのため仮想通貨の取引は特定の国家・企業のシステムが処理するのではなく、世界の有志が提供した無数のコンピューターによって行なわれます。
仮想通貨処理にシステムを提供した人・団体は、少量の仮想通貨を報酬として受け取ります。
これが仮想通貨の「マイニング(採掘)」と呼ばれる仕組みで、仮想通貨処理で報酬を受けとる人たちは「マイナー」と呼ばれています。
報酬を目指して多数のマイナーが参戦してくると1つの問題が生じます。
無数のマイナーのコンピューターで処理が行なわれると、「どの取引が正しいものか」が分からなくなるのです。
そこで仮想通貨取引では、「最も長いブロックチェーン中の取引が正しい取引として認識される」というルールが定められています。
「最も長いブロックチェーン中の取引」とは、マシンパフォーマンスの高さや台数の多さに比例すると単純にご理解ください。
「最も長いブロックチェーン取引=正」を悪用すると・・・
悪意のある攻撃者は一時的に他のマイナーを上回る速度でマイニングを行い、マイニングの独占を狙おうとします。
そしてネットワーク全体の採掘速度の51%以上を支配することで、攻撃者が行った不正な取引も「正しい」ものと認識させてしまいます。
これを51%攻撃と呼びます。
二重支払い攻撃を発動!
悪意のあるものが51%攻撃で支配権を得ると、ブロックチェーンによる取引内容の保証が機能しなくなります。
次に二重支払の攻撃をしかけ、BTGを取引所に預け入れつつ、同じ通貨を自らの支配下にあるウォレットへと送金しました。
これで自身のBTGが2倍になり、利用された取引所に損失を押し付ける形になります。
ちなみに51%攻撃はデータを改ざんしているのではなく、仮想通貨とブロックチェーン技術の隙間を狙って、どちらも正しい取引データとして記録しているのです。
被害総額は約20億円
この攻撃の犯人と思われるBTGアドレスには、38万BTG以上のコインが送られたことが明らかになっています。
このコインが51%攻撃に乗じて生まれたと仮定すると、攻撃者は約20億円もの大金を得たことになります。
ビットコインや他の投資家への影響は?
BTGは日本の取引所で売買できないことから、日本人投資家への影響は断定的でしょう。
一方で仮想通貨投資家としては、ビットコインなど他の仮想通貨へ与える影響が気にかかります。
ビットコインが51%攻撃を受ける可能性は低い
通常、51%以上のマイニングを占有するのは非常に高コストであるため、ビットコインなどのメジャーな仮想通貨で51%攻撃を仕掛けるのは現実的でないとされています。
BTGのように比較的規模の小さい仮想通貨の方が攻撃しやすいわけです。
しかし規模が小さいとは言え、今回の一件は安全性の高さが売りの仮想通貨の脆弱性を露呈した事件なので、投資家としては不安が募ります。
今回はBTGの取引所が受けた51%攻撃について解説しました。
小規模な仮想通貨にのみ起きる事象とはいえ、仮想通貨の技術の根幹を脅かす事件だと思うので、ぜひ対策を打っていただきたいですね。
以上、本日はここまで。
それでは!
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