2018年も家計をめぐる税制や社会保障などの制度改定がたくさんあります。
税や社会保障のことを国や自治体が教えてくれることはなく、うまく活用する人と活用しない(もしくは知らない)人の差が大きい分野です。
そこで今回は2018年の制度改正を解説しますので、みなさまも賢くお金を守る方法を考えてみてはいかがでしょうか。
家計にかかわる主な制度改正
2018年に家計をめぐる様々な制度改正が行われます。
具体的には・・・
- 働き方改革関連
- 医療や介護関連
- 資産運用関連
- 住居関連
といった分類があげられます。
それぞれ詳細を見ていきましょう。
働き方改革関連
まずは、昨年大きく知名度を上げた働き方改革に関わる制度改正です。
配偶者控除の見直し
従来、配偶者控除には「年収103万円の壁」という有名な言葉がありました。
パート等で働く妻を持つ夫が、配偶者控除のメリットを満額享受できるかどうかのボーダーラインが103万円にあったのです。
これが改正されて「年収103万円の壁」が「150万円の壁」となります。
つまり妻の年収が150万円までなら夫の配偶者控除は上限38万円まで享受できるというものです。
これまで103万円以下となるように控え目に働いていた妻は、+47万円も上乗せで働けるようになるため、「1億総活躍社会の実現」の一環として注目されています。
ただし改正の中には「夫の年収が1,120万円を超えると段階的に控除が引き下げられ、年収1,220万円を超えると0になる」という事項も含まれており、高所得者層はデメリットを受けることになります。
(引用:おさいふプラス https://jin-plus.com/haiguusyakoujo-tax-150)
教育訓練給付金の拡張
資格取得などを目指す人が学習に使った費用を補填してくれる「教育訓練給付金」がより手厚くなります。
教育訓練給付制度の種類には大きく2つあって、2018年は「専門実践教育訓練給付」が改正されます。
- 一般教育訓練給付
- 専門実践教育訓練給付(←こっちが改正)
従来は教育訓練に要した費用に対して40%、資格取得した場合は+20%上乗せされるため、合計で60%の補助でした。
2018年1月1日施行以降は10%引き上げられ、教育訓練に要した費用に50%、資格取得した場合は+20%上乗せされて合計70%となります。
また補助金額の上限も引き上げられることとなり、従来は資格取得時の上乗せ分も含めて上限48万円だったものが、上限56万円へと変更されました。
学ぶ意欲がある人を応援してくれる素晴らしい制度改正ですね!
(引用:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201408/1.html)
住居関連
次に住居関連の改正について見ていきましょう。
民泊に関する法律の施行
6月施行予定の住宅宿泊事業法で、いわゆる「民泊」に関する法的枠組みが整います。
未使用の住居を持つ人は、年間の営業日数として180日を上限に民泊として貸し出すことが可能となります。
「空き家」が社会問題になるなか、自宅の一部や相続した空き家などを民泊に利用する人が増えることが予想されます。
また2020年東京オリンピックで懸念される宿泊施設の不足に対しても、有効活用されるといいですね。
医療や介護関連
続いて、国家予算の膨張が懸念される医療や介護関連の制度改正についてです。
高額療養費制度の上限の引き上げ
高額療養費制度とは、医療費の自己負担に上限を設ける制度です。
例えば手術や入院で一か月の医療費が大きな金額になったとしても、年収に応じて個人が負担する医療費の上限が決まっているため、数万円を支払えば良いことになってます。
今回の制度改正によって、70歳以上で年収が370万円以上ある人達を3つの年収グループに分け、個人負担の上限を引き上げることになりました。
具体的には・・・
- 年収370万円~770万円の人の医療費の負担上限は月額8万100円~
- 年収 約770万円~1,160万円の人の医療費の負担上限は月額16万7,400円~
- 年収 約1,160万円以上の人の医療費の負担上限は月額25万2,600円~
70歳以上の年金世代であったとしても、年収がしっかりあれば現役世代と同等の負担を求める事になります。
世代間格差の是正につながる良い制度だと私は思います。
(引用:All About https://allabout.co.jp/gm/gc/469217/)
介護保険の高所得者の負担増
高齢者の医療と介護の1年間の自己負担を定めた高額介護合算療養制度があります。
従来は自己負担の上限は年間67万円でした。
2018年の改正によって、やはり年収ごとに自己負担額を変えることとなり、年収約770万円~1,160万円は141万円~、年収約1,160万円以上は212万円~に上がります。
資産運用関連
最後に資産運用関連です。
つみたてNISA(少額投資非課税制度)の開始
低コストの投資信託に積立て投資してもらうことを目的に始まった税制優遇制度です。
非課税の投資枠は年間40万円であり、従来の一般NISAの3分の1の非課税枠に抑える一方で、非課税期間が従来の4倍にあたる20年間にも及びます。
「貯蓄から投資へ」なんてキャッチフレーズがありましたが、長期の資産形成を促すための秘策とも言える制度改正ですので、活用されることをおすすめします。
【積立NISAに関する記事はこちら】 |
なお一般NISAは制度実施後初めて5年間の非課税期限が12月に訪れます。
当初購入した株式・投資信託等を保有の人は、売却するか、課税口座もしくは翌年の一般NISAに移し替える処置が必要ですので、忘れずに対応しましょう。
【NISAの非課税期限到来の対応に関する記事はこちら】 |
以上、本日はここまで。
2018年の主な家計にかかわる制度改正について解説しました。
それでは!
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