日本人の金融リテラシー(ファイナンシャルリテラシー)は欧米諸国に比べて低いとよく言われます。
確かに日本ではお金に関する教育が不足していると思うので、わたしも日々勉強しながら、お役に立てればと思ってこのブログで情報発信しています。
さてこれに関連した話で、先日、日経新聞に「お金のアレコレ15問」というクイズが掲載されていました。
日々の暮らしに役立つ金融リテラシーも多く含まれていたため、わたしの独自解説も交えながら、厳選して5問ほど紹介したいと思います。
1、税金の問題(正答率:16.5%)
■問題:給与所得が増えると所得税率が上がるので、手取りが減ることがある。 ■答え:× |
正答率16.5%と非常に低い問題でした。
日本は累進課税制度を取っているので、所得が増えれば所得税率が上がることはみなさんご存知の通りです。
累進課税制度の説明といっしょに、下表のような税率表をご記憶の人も多いでしょう。
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
実はこの税率表が勘違いの原因となっています。
多くの人が税率区分の境目の所得金額では所得が多い人の方が手取り金額が低くなると勘違いされるようです。
【間違った計算方法】 課税所得:195万円の場合の税率は5%で、税抜き後は195万円×95%=185.25万円 |
上記計算では、「課税所得:200万円の場合」の計算方法に誤りがあります。
正しくは課税所得を税率区分ごとに計算する必要があるため、所得が多い人の方が税抜き後金額は多いことになります。
正しい計算方法は以下のとおりです。
【正しい計算方法】 課税所得:200万円の場合の税率は5%と10%の組み合わせである |
2、利息と複利の問題(正答率:50.3%)
■問題:25歳から毎年10万円預金したAさんと50歳から毎年20万円貯金したBさん。75歳で残高が多いのはどっち? ■選択肢:①同じ ②Aさん ③Bさん ■答え:② |
毎年の貯金額を単純に積み上げていくと、AさんもBさんも残高は500万円に到達するので、「①同じ」とひっかける問題のようです。
この問題の重要なポイントは、貯金には利息がつくという点です。
少なくともAさんは25歳~50歳のうちに貯金した利息と貯金残高から生じる複利の効果があるため、「②Aさん」が多いと答えるのが正解です。
「いやいや、世の中マイナス金利だから銀行預金はマイナスに働くはず」なんて、ひねくれたことを言う人もいるかもしれません。
日本のマイナス金利は銀行が日本銀行に預け入れた場合に適用されるもので、個人の預金者に対してマイナス金利を適用する銀行はありません。
あくまで現時点という条件付きですが、今のところはご安心ください。
3、ドルコスト平均法の問題(正答率:33.9%)
■問題:バブル期の1990年から日経平均株価連動答申に月1万円を投資した場合、8月までの投資額は332万円にのぼる。今の評価額は投資額を上回る? ■選択肢:①投資額を上回る ②投資額と同じ ③投資額を下回る ■答え:① |
積立て投資に関する記述です。
1990年と言えば日経平均株価が38,000円台のピークに到達した1989年の翌年にあたり、日経平均株価史上もっとも高値であったころです。
今の株価は19,000円~20,000円であることから、いかにも評価額は「③投資額を下回る」と選びそうなものです。
しかし、答えは「①投資額を上回る」が正解です。
1990年と今の株価を比べれば確かに前者の方が圧倒的に高いのですが、その間に安値をさまよう期間も多分にあったため、積立て投資の効果で評価益が出るようです。
株価が現在の20,000円前後あれば、評価額は400万円台中盤になり、100万円以上の評価益が出るそうです。
【参考記事】 |
4、税金の問題 Part2(正答率:47.0%)
■問題:結婚する時期について、税金面で考えると2017年末と2018年始のどちらが有利か? ■選択肢:①年末 ②年始 ③どちらも変わらない ■答え:① |
この問題は配偶者控除という税制がポイントです。
税金の負担を減らす配偶者控除は、毎年12月31日の状況を基準に決まります。
12月31日時点で入籍していれば、2017年の配偶者控除・配偶者特別控除を受ける権利が得られます。
ゆえに「①年末」に入籍すれば、配偶者控除制度の適用になって税金が安くなる可能性があるわけです。
あえて「可能性がある」と書いたのは、配偶者控除の制度は配偶者の所得がそれなりにあれば、この税金優遇制度の対象外となってしまいます。
夫婦共働きであれば、入籍時期が年始か年末かは「③どちらも変わらない」こともあるでしょう。
5、NISAの問題(正答率:43.2%)
■問題:NISAについて誤った説明はどれ? ■選択肢: ■答え:② |
NISAとは株式・投資信託の投資における非課税制度です。
通常の口座とは別にNISA口座を開設すると、NISA口座内で保有した銘柄から生じる配当金や売却益は非課税になります。
ただし一般の証券口座で保有している株式をNISA口座に移すことはできません。
私が時々起こすミスとして、NISA口座で購入しようとした株式や投資信託が、購入時の設定を誤って実は一般の証券口座で購入してしまったとなるケースです。
この場合はNISAの非課税制度を受けることができませんので、必ずNISA口座で保有できるように購入時の設定には気を付けましょう。
【参考記事】 |
以上、本日はここまで。
日経新聞のお金にまつわるクイズをご紹介しました。
なお、15問全てを日経スタイルというWebページで見ることもできるので、興味がある人は以下のURLでご覧になってください。
【給与増→税金で手取り減? 「お金のアレコレ」15問】
URL:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20596260R30C17A8W03000?channel=DF280120166594
それでは!
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