ヘッジファンドをご存知ですか?
内容は知らなくても、新聞やニュースで見聞きして、いかにも「プロ」といった印象を持たれている人が多いかと思います。
普通の投資家には関係がなさそうにも見えますが、実は超富裕層や機関投資家でなくてもヘッジファンド「的な」資産運用ができることが分かりました。
普通の投資家がヘッジファンドで運用する方法とはいったい・・・?
ヘッジファンドとは
ヘッジファンドとは、機関投資家や富裕層等から私的に集めた資金をもとに、複数の金融商品で高い運用収益を得ようとする投資信託、もしくは投資信託を運営する組織を指します。
普通の投資信託との違い
証券会社で購入できる普通の投資信託との違いは、主に以下の点が上げられます。
- ヘッジファンドは私募であり、投資信託は公募である
- ヘッジファンドは絶対収益型であり、投資信託の多くは相対収益型である(投資信託の中にも絶対収益型はある)
- ヘッジファンドの運用コストは高く、且つ運用益が出れば成功報酬を請求される
1点目の違いは私募でクローズな取引を行うという点です。
より大きな取引を成立させるために最低投資額を千万円~億円に設定しているものが多く、富裕層や機関投資家向けと言われています。
2点目の違いは絶対収益型の投資であるという点です。
絶対収益型とは、好況・不況に関わらず利益を追求する特徴を指します。
投資商品を多様に扱い、投資方法も購入・空売りを駆使して、常に収益を目標とするため、ハイリスク・ハイリターンな投資姿勢となります。
3点目の違いは運用コストと成功報酬、すなわち総じてコストが高いという点です。
ヘッジファンドの運用コストは預かり残高の2%相当の手数料のほか、成功報酬として運用益の10%~20%を追加で請求されることが一般的です。
近年の運用成績の悪化により、一部ヘッジファンドでは手数料引き下げの動きがあるものの、1%未満の運用コスト商品が多い投資信託と比べると、ヘッジファンドの運用コストは以前として高いようです。
ヘッジファンドの歴史
ヘッジファンドの始まりは1920年代と言われています。
初期のヘッジファンド
初期の代表的なヘッジファンドとしてベンジャミン・グレアムとジェリー・ニューマンによるグレアム=ニューマン・パートナーシップがあげられます。
個人の資産家の資金を運用スタイルで規模を拡大していきましたが、多くのヘッジファンドが1970年代の不況や株価暴落の影響で廃業に追い込まれました。
1990年代~ ヘッジファンドの復活
1990年代に入り、インターネット・バブルによる株価上昇によりヘッジファンドの運用成績も優れていたため、再度脚光を浴びてヘッジファンドの数が大幅に増えました。
この時期には年間利回り20~30パーセントなど当たり前なくらい高リターンを達成するヘッジファンドが多く存在しました。
しかし21世紀に入ってすぐに、ヘッジファンド業界を揺るがす大事件が起きます。
2008年のサブプライムローン問題~金融危機です。
2008年の金融危機以降のヘッジファンド
2008年の金融危機に伴い株式や為替市場が混乱する中、多くのヘッジファンドが解約を制限しました。
解約制限の動きに対して数多くの投資家が怒り、不信感を抱いたため、ヘッジファンドの人気は急落し、運用資産も激減してしまいました。
金融危機から脱した後、再びヘッジファンドへの資金流入も勢いを取り戻し、2011年4月には概算2兆米ドルと金融危機前の水準に戻りました。
その後も運用資産が増え続けた一方で、ヘッジファンドの運用成績は伸び悩みます。
2009年から2016年まで、連続して米国S&P500指数のパフォーマンスにも及ばず、インデックス投信以下の烙印が押されてしまいました。
その結果、2016年は大規模な資金流出が起こり、2008年の金融危機時よりも多数のヘッジファンドが倒産してしまいました。
ヘッジファンドに投資する方法
2008年の金融危機以降、ヘッジファンドのパフォーマンスが下がっているため、投資したいと思う人は少ないかもしれません。
しかし、下落相場でも収益を追求できるヘッジファンドは、ポートフォリオの1つとして組み込んでおいて悪くないと個人的には思います。
一方で、一般の投資家がヘッジファンドで投資するのはハードルが高いと言われています。
通常、ヘッジファンドは最低投資額が1,000万円以上であること、また海外事業者中心の選択となるために言語や税制が異なるなど、様々な問題があるためです。
日本国内、且つ少額でヘッジファンドに投資する方法
上記のような高いハードルを回避して、一般の投資家がヘッジファンドに投資する方法として、ヘッジファンドと同じスキームで運用する国内運用会社の投資信託があります。
つまりヘッジファンドに投資するのではなく、ヘッジファンド「的な」投資信託に投資する方法というわけです。
ヘッジファンド「的」な投信を戦略別にいくつかご紹介します。
グローバルマクロ
- 三菱UFJ国際投信/マクロ・トータル・リターン・ファンド/設定16年6月/純資産460億円
JPモルガン運用のグローバルマクロ戦略のヘッジファンドに投資するファンド・オブ・ファンズです。
設定来の騰落率は-5.8%。(2017年5月9日時点)
CTA、トレンドフォロー
- T&D投信/ロボット戦略/世界分散ファンド/16年9月/182億円
コンピューター運用の実績を持つ英国のAHLパートナーズの投資信託に投資するファンド・オブ・ファンズです。
設定来の騰落率は+7.3%。(2017年5月9日時点)
ロングショート
- ブラックロック/世界株式絶対収益追求ファンド/14年7月/36億円
日本株を含む世界株のロングショート戦略のブラックロック社ファンド2本に投資するファンド・オブ・ファンズです。
直近1年の騰落率は+7.8%、設定来の騰落率は-2.7%。(2017年5月9日時点)
- 野村アセット/ワールドスターオープン/95年1月/42億円
MSCIワールドインデックスをベンチマークにはしていますが、先物・オプションなどのデリバティブとスワップ取引を活用して効率化しているファンドです。
直近1年の騰落率は+20.9%、設定来の騰落率は+103.0%。(2017年5月9日時点)
新興市場
- 日興アセット/日興・アッシュモア・グローイング・マルチストラテジーファンド/07年4月/47億
マルチストラテジーの英アッシュモアが運用する新興国市場の債券、株式、通貨が投資対象の投資信託です。
直近1年の騰落率は+15.0%、設定来の騰落率は+21.3%。(2017年5月9日時点)
マルチストラテジー
- BNYメロン・アセット/BNYメロン・リアル・リターン/13年3月/230億円
世界の株式、債券、通貨等を投資対象とし、米ドルベースで絶対収益を目指すもので、BNYメロングループのニュートン・インベストメントのファンドが親ファンドです。
直近1年の騰落率は+15.0%、設定来の騰落率は-1.8%。(2017年5月9日時点)
販売会社
上記のヘッジファンド「的な」投資信託の多くが楽天証券などのネット証券からも購入可能です。
ただし三菱UFJ国際投信のマクロ・トータル・リターン・ファンド、及びブラックロックの世界株式絶対収益追求ファンドは直販のみとなっています。
コスト
どの投資信託も販売手数料として3%前後、信託報酬として1~2%程度のコストがかかるようで、投資信託の中でもコストは高い方だと思います。
一方で本当のヘッジファンドにあるような「成功報酬」は存在しないので、ヘッジファンドほどにはコストがかからないとも言えます。
いずれにせよ、投資をする際は過去のパフォーマンスに加えて、コストも加味して検討することが必要です。
以上、本日はここまで。
今回ご紹介した投資信託に投資すれば、「ヘッジファンド「的な」投資やってるんだぜ」って言えるようになります。
運用成績を見ると、かなりのリターンを出しているファンドも存在するようなので、私も実際に投資を検討したいと思います。
それでは!
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