ピケティの話題の著書「21世紀の資本論」での主張
21世紀には、個々人がどのような知識を身に着け、どのような職業に就くかではなく、だれの子どもに生まれるかが所得を決定する
について、前投稿でその根拠を見ていきました。
その根拠とは、過去の賃金は経済成長率程度にしか増えず、資本収益率が常にそれに勝ることを、過去200年の税務統計の分析結果から導いたのです。
だからピケティは「21世紀の資本論」で「だれの子どもに生まれるかが所得を決定する」と主張し、格差社会の温床となっていると批判しているのです。
富めるものはより豊かになり、格差がますます広がる。
富裕層が所得と富を独占し中産階級は没落していくという事を証明したわけです。
その解決策として、ピケティは以下のような施策を提案しています。
■グローバル累進課税制度の導入
一種の富裕税をグローバルに創設して、年0.3%から最大で10%を資本に課税するという内容です。
さらに、年間所得50万ドル(5000万円)以上の富裕層に対して、80%程度の税金(限界税率)をグローバルに取り立てるべきだと主張する。
つまり所得の再分配、所得税などの累進課税や富裕層への富裕税によって得た税収を「年金、健康保険、失業手当、教育」に回すという、社会国家論を提案しているのです。
ピケティの「21世紀の資本論」の主張に対して、多くの批判の声もあがっています。
課税の強化は起業家精神を損なうことになり、人々はリスクを取らなくなって経済が停滞するとの主張があります。
また課税を強めて再分配を行った場合の損失やコストを考慮していないという批判する人もいます。
しかし、「21世紀の資本論」はノーベル経済学者のポール・クルーグマン教授など多くの有識者から非常に高く評価されています。
貧富の格差は社会に歪みをもたらします。
ウォール街の選挙など大きな社会問題にも発展します。
私は、再分配をどのような政策で進めるべきかは重要な政治的経済的課題であり、格差が広がる日本においても、継続して是正施策を検討・実行し続けるべきと考えます。
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