2017年の相場について、世界の3代投資家と言われるウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズはどのように見ているのでしょうか?
彼らのインタビュー記事などを通じて相場観を調べてみたところ、3人ともあるキーワードを最大の関心事項として語っていました。
彼らの関心ごととは、トランプ大統領です。
投資の神様 ウォーレンバフェット
(画像引用:CNN.co.jp http://www.cnn.co.jp/photo/l/418064.html)
結論:ポジティブな相場観
投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、昨年の大統領選挙中は民主党のヒラリー・クリントン候補を支持し、共和党のドナルド・トランプ候補を批判していました。
しかし選挙後にはトランプ氏を称えるような言葉も述べており、以下のようにポジティブな相場観を持っているようです。
- トランプ氏勝利でも株式相場の見通しは明るい
- ただしトランプ次期大統領の保護主義的な通商政策には懸念を持っており、中国やメキシコの関税を上げることにつては「良からぬ考えだ」と批判
- 「選挙後に選挙戦中の公約が実施されないことは多々ある」とも述べ、トランプ政権が公約を多少は調整して現実路線に転じることに期待を寄せる
上記の通りウォーレン・バフェット氏の相場観は明るいのですが、その前提としてトランプ氏の政策が現実路線に切り替わることの必要性も述べています。
つまり公約通り突き進んでしまうと世界経済にとってマイナスであり、株式市場の停滞を招くことを危惧しています。
ヘッジファンドの帝王 ジョージ・ソロス
(画像引用:WSJ http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-432399.html)
結論:ネガティブな相場観
昨年11月の大統領選挙でトランプ氏が勝利したちょうどそのころ、不名誉な形で新聞記事をにぎわしたのがジョージ・ソロス氏です。
ソロス氏は2016年を通じて株価下落を予想しており、多くの空売りを行っていたと言われています。
しかし大統領選挙後の株価急騰が空売りポジションを直撃し、一説によるとソロス氏は10億ドル(1,100億円くらい?)近い損失を出したといわれています。
そんなソロス氏が語る2017年相場観ですが、トランプ政権の先行き次第でかなり危ういものになると予想しています。
- ドナルド・トランプ次期米大統領の政策が不透明な点を考えると、世界の金融市場は今後低迷するとの見通し
- ソロス氏はブルームバーグに対して「現段階で不確実性の度合いは最高潮に達しており、こうした不確実性は長期的な投資家の敵だ。だから市場が順風満帆な局面を迎えられるとは思わない」と語った
- トランプ氏の政策について規制緩和や減税といった点は評価する一方、国境税や環太平洋連携協定(TPP)脱退などが米国の経済成長に及ぼす影響に懸念があると指摘している
- ソロス氏は「個人的にはトランプ氏は失敗すると確信している。彼の考えが本質的に自己矛盾をきたしている」と述べた
- トランプ大統領の政策の中身が悪くても、経済的には米国の成長が止まるとは考えていない。一方でEUの存続性については深刻な懸念を示している。ドイツ、イタリア、オランダなど選挙が相次ぐEU諸国において、脱EU化の加速を懸念している。
ソロス氏はドナルド・トランプ氏の掲げる政策ビジョンを批判し、世界の金融市場が低迷すると述べています。
低迷の原因は、アメリカが保護主義的な政策をとることや、EUに対する懸念が強いようです。
冒険投資家 ジム・ロジャーズ
(画像引用:Zoo online https://zuuonline.com/archives/40608)
結論:ネガティブな相場観
ジム・ロジャーズ氏はトランプ大統領の政策だけでなく、先進各国で行われる大規模な金融緩和に対しても大きな懸念を持っています。
昨年12月に日本で行われたMASTER OF WEALTH(マスター・オブ・ウェルス)というイベントで、ロジャーズ氏は以下の通り語っています。
- アメリカ、日本、イギリス、多くの中央銀行が大量の紙幣を刷っている異常事態である
- アメリカも日本も債務が桁外れに巨額になっており、過去に起きた株価暴落に比べ“嵐”の規模も大きくなるだろう
- トランプ氏が掲げる減税はいい政策だが、貿易に関しては憂慮すべきことを言っている(←保護主義的な発言を指す)、貿易戦争が誰の利益にもならないのは明らか
- 暴落の始まりは誰もが見逃してしまうような“小さなサプライズ”から始まるもの、2017年にはその“予兆”が出るかもしれない
インタビュー記事だけ読むと、3人の中でロジャーズ氏が最も相場の先行きをネガティブに見ているようにも思えます。
また近年のロジャーズ氏の投資と言えば「金」と「中国株」でしたが、ドル高の影響を受けて「金」が下落、またアメリカの保護主義的政策の進行により「中国株」が下落することを懸念しています。
この流れに対応するため、ロジャーズ氏は投資資金をロシアへ移しつつあるそうです。
まとめ 3大投資家の2017年度の相場予想
ここまでの内容をまとめると、下表のようになります。
3大投資家のうちバフェットがポジティブ、ソロスやロジャーズはネガティブとなっています。
しかし相場観は違えどトランプ政権を大きなリスクとする見解は見事に一致です(笑)
投資家 | 2017年 相場観 | ポジティブ 要素 | ネガティブ 要素 |
バフェット | ポジティブ↑ | ・理由は分からないが、とにかく楽観視 | ・保護主義的な政策など、トランプ政権が選挙公約通りに突き進むリスク |
ソロス | ネガティブ↓ | ・米国の継続的な成長 | ・保護主義的な政策など、トランプ政権が選挙公約通りに突き進むリスク ・EU離脱の拡大、EU崩壊 |
ロジャーズ | ネガティブ↓ | ・米ロ関係の改善、資源価格の安定によるロシア経済の成長 | ・先進各国による金融緩和 ・保護主義的な政策など、トランプ政権が選挙公約通りに突き進むリスク ・ドル高による金利上昇→金価格の下落 ・アメリカの保護主義進行による中国経済へのダメージ |
この結果を受け多数決で2017年の株式市場は下落?
なんて思うかもしれませんが、実は2016年の相場予想についてもほぼ同じような内容だったのに、結果的に米国や日本の株価は上昇したので、ソロス氏とロジャーズ氏は見事に予想を外しました。
ソロスやロジャーズの神通力も時代の流れには勝てないのかな?
ということで、2017年の予想も参考までにとどめることをおススメします。
↓↓2018年もロジャーズ、バフェット、ソロスの予想をまとめました!↓↓

以上、本日はここまで。
それでは!
(記事参考:Zoo online https://zuuonline.com/archives/134662)
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