先日の投稿では、個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象者の拡大や企業型の確定拠出年金との違いについて書きました。
個人型の確定拠出年金自体は以前からあった制度ですが、2017年1月から対象者が増えるため、新規加入者を取り込んで儲けようとする金融業界の思いがあって、ここ最近の盛り上がりにつながっているようです。
今回の投稿では、iDeCoを始めるうえで必須である金融機関を選ぶことにフォーカスを当て、金融機関の比較を行いたいと思います。
個人型確定拠出年金(iDeCo)を始める方法
iDeCoを始めるためには、iDeCoを扱う金融機関の口座開設が必要になります。
iDeCoを扱う金融機関はたくさんあって、銀行・信用金庫・労働金庫・証券会社・信託銀行・生命保険会社・損害保険会社など、その数は100社を優に超えています。
それではどうやって自分のiDeCoを任せる一社を選べば良いでしょうか?
金融機関を選ぶうえで大切なポイント
iDeCo確定拠の金融機関を選ぶ際に大切なポイントとして、手数料と取扱い運用商品の2点があげられます。
手数料
個人型確定拠出を始める際、また個人型iDeCoを維持するうえで、いくつかの手数料がかかります。
手数料が安い金融機関を選べばいいじゃん!って単純に思うところですが、手数料の仕組みがちょっと複雑なので、詳しく解説します。
iDeCoに関わる3つの機関
iDeCoの活用にあたり、以下3つの機関が口座の管理に関わってきます。
- 国民年金基金連合会
- 事務委託先金融機関(信託銀行)
- 運営管理会社
それぞれに対して手数料が必要になってきますが、基本的に上2つ(国民年金基金連合会と事務委託先金融機関(信託銀行))にかかる手数料は固定となり、運営管理会社にかかる手数料のみ金融機関ごとに異なります。
加入時の手数料
加入時は国民年金基金連合会と運営管理会社に手数料を支払う必要があります
支払先 | 金額 |
国民年金基金連合会 | 2,777円 |
事務委託先金融機関 | 0円 |
運営管理会社 | 会社ごと異なる |
(金額は税込み)
加入後の維持手数料
加入後は3つの機関に対して維持手数料を支払う必要があります。
支払先 | 金額(月額) |
国民年金基金連合会 | 103円 |
事務委託先金融機関 | 64円 |
運営管理会社 | 会社ごと異なる |
(金額は税込み)
ここまでの内容を踏まえると、iDeCoの手数料は以下のようにまとめることができます。
- 開設時の初期費用:2,777円+利用する金融機関の初期費用
- 口座の維持費用:167円(月額)+利用する金融機関の維持費用(月額)
取扱い運用商品
iDeCoで積み立てたお金は60~65歳以降でないと受け取れないため、長期にわたって投資商品で運用することが前提です。
そのため、低コストの運用商品を揃えているか?という点が金融機関を選ぶ際に大切になってきます。
iDeCoではインデックス投信が主流で購入時手数料は基本的に0円であるため、重要になるのは投資信託の維持手数料にあたる信託報酬です。
金融機関選びでは信託報酬の安いインデックス投信を備えているか?を重視することをおすすめします。
iDeCoの金融機関比較
iDeCoの金融機関を選ぶうえで大切なのは手数料と取扱い運用商品の2点です。
それぞれ金融機関ごとに比較してみましょう。
管理手数料の比較
iDeCoの管理手数料には、どの金融機関でも固定で支払う必要がある手数料と、金融機関ごとに変動する手数料があります。
運営管理の手数料が0円になる金融機関は、2017年1月22日時点で下表の4機関あることが分かりました。
金融機関名 | 初期手数料 | 月額手数料 | 手数料 (初年度) | 手数料 (2年目 以降) | |||
国民年金基金 | 運営 管理 | 国民年金基金 | 事務 委託 | 運営 管理 | |||
SBI証券 (50万円以上) | ¥2,777 | ¥0 | ¥103 | ¥64 | ¥0 | ¥5,861 | ¥2,004 |
スルガ銀行 | ¥2,777 | ¥0 | ¥103 | ¥64 | ¥0 | ¥4,781 | ¥2,004 |
第一生命保険 (150万円以上) | ¥2,777 | ¥0 | ¥103 | ¥64 | ¥0 | ¥4,781 | ¥2,004 |
楽天証券 (10万円以上) | ¥2,777 | ¥0 | ¥103 | ¥64 | ¥0 | ¥4,781 | ¥2,004 |
(2017年1月22日時点)
※SBI証券の初期手数料(運営管理費)は通常1,080円かかりますが、キャンペーン中につき2017年1月22日時点では0円です。
※一時的なキャンペーンで月額手数料:0円と宣伝している金融機関は上表から除外しています。
上表のうち、第一生命保険の150万円以上の残高というのは到達のハードルが高すぎるように感じます。
そこでSBI証券、スルガ銀行、楽天証券の3機関に絞って検討したいと思います。
取扱い運用商品の比較
iDeCoの管理手数料によって3金融機関まで絞り込むことができました。
続いて取り扱い運用商品を見てみましょう。
2017年1月22日時点で、各金融機関の運用商品数は以下の通りです。
- SBI証券:47本
- スルガ銀行:33本(定期預金含む)
- 楽天証券:28本(定期預金含む)
数多くのiDeCo向けの運用商品がありますが、各資産分類ごとに最も低い手数料を整理すると下表のようになります。
赤字の投資信託が、その商品分類の中で最も運用管理費が安いものです。
分類 | 証券会社 | 運用商品名 | 実質的な 運用管理費 | ||
国内株式 | SBI証券 | ニッセイ-DCニッセイ日経225インデックスファンドA | 0.205% | ||
楽天証券 | たわらノーロード日経225 | 0.211% | |||
スルガ銀行 | DC・ダイワ・ストックインデックス225 | 0.560% | |||
国内債券 | SBI証券 | 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド | 0.130% | ||
楽天証券 | たわらノーロード国内債券 | 0.162% | |||
スルガ銀行 | インデックスファンド日本債券(1年決算型) | 0.490% | |||
国内REIT | SBI証券 | ニッセイ-DCニッセイJ-REITインデックスファンドA | 0.270% | ||
楽天証券 | 三井住友・DC日本リートインデックスファンド | 0.281% | |||
スルガ銀行 | 野村 J-REITファンド | 1.020% | |||
海外株式 (先進国) | SBI証券 | ニッセイ-DCニッセイ外国株式インデックス | 0.227% | ||
楽天証券 | たわらノーロード 先進国株式 | 0.243% | |||
スルガ銀行 | インベスコ MSCIコクサイ・インデックス | 0.860% | |||
海外債券 (先進国) | SBI証券 | 三井住友-三井住友・DC外国債券インデックスファンド | 0.227% | ||
楽天証券 | たわらノーロード先進国債券 | 0.216% | |||
スルガ銀行 | ダイワ 投信倶楽部外国債券インデックス | 0.700% | |||
海外REIT (先進国) | SBI証券 | 三井住友-三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.302% | ||
楽天証券 | 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.302% | |||
スルガ銀行 | DCダイワ・グローバルREITインデックス | 0.570% |
(2017年1月22日時点)
上表をもとに、投資信託の運用管理費の最安値をまとめなおすと、下表のようになります。
分類 | 運用管理費が最安値 の投信を持つ |
国内株式 | SBI証券 |
国内債券 | SBI証券 |
国内REIT | SBI証券 |
海外株式 | SBI証券 |
海外債券 | 楽天証券 |
海外REIT | SBI証券 楽天証券 |
SBI証券が一番だ!とも言いたいところですが、SBI証券と楽天証券の最安値の投信管理費を比較すると、どれも年間0.1%以下の差しかありません。
0.1%以下の差ならどちらでもいい気がするので、既に口座開設しているのが楽天証券だけであれば、わざわざSBI証券にする必要はないかもしれません。
いずれにせよ、iDeCoの金融機関はSBI証券と楽天証券で運用するのがリーズナブルで、おすすめだと思いました。
以上、本日はここまで。
それでは!
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