デジタルクーポン債券|利回り10%超の投資商品EB債とは?

株式

SBI証券のマイページを見ていたところ、すごく気になる投資商品を見かけました。

その金融商品とは↓↓

EB債/デジタルクーポン債 期待利回り11%!

デジタルな債券?という意味なのでしょうが、国債や社債の取引は既にインターネットでできる時代なのにわざわざデジタルという別名だし、期待利回り11%という債券としては異常なくらい高利回りだし、きっと何かしらの仕掛け金融商品であることは推測できますが。

さっそくデジタルクーポン債について調べてみました。

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EB債/デジタルクーポン債とは

デジタルクーポン債とは、株式や為替レートなどの対象とされる資産の価格が基準値を上回ったか、下回ったかなどの状況をもとに、利率が決定される債券。

利率が2つ(以上)の条件に分かれるため、0と1で数値を表現する二進法を採用した「デジタルコンピュータ」が名称の由来になったといわれる

(引用:野村證券の証券用語解説集より)

なるほど、基準価値より上か下かで利回りが変動する投資商品ということですね。

具体的なデジタルクーポン債の商品を取り上げて見てみましょう。

マネックス証券のデジタルクーポン債から仕組みを学ぶ

マネックス証券で売り出されていた商品を題材に、デジタルクーポンの仕組みを理解してみましょう。(現在は販売終了)

商品概要

マネックス証券で取り扱いのあるデジタルクーポン債の正式名は、

フィンランド地方政府保証機構保証付 フィンランド地方金融公社 2018年6月28日満期 円建 早期償還条項付 参照株式株価連動債券(デジタルクーポン型・マツダ株式会社)

・・・名前が長すぎ。

正式名を聞いただけで商品内容を理解することを諦めてしまいそうですね。

かみ砕いてポイントを説明すると、以下の通りです。

  • フィンランド地方金融公社というフィンランド法人が発行する社債である
  • 運用期間は2016年6月28日~2018年6月28日の2年間である
  • 利払いの利回りは変動制で、マツダ株式会社の株価変動を判定基準とする
  • 年に4回、株価で判定のうえ利払いされる

どうでしょう?すっきり理解できましたか?

疑問として残るのは、「利回りはマツダ株式会社の株価変動を判定基準」とい部分ですね。

いったいどのような判定方法で利回りが計算されるのでしょうか?

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利回りの仕組み

マネックス証券の本商品(フィンランド地方金融公社・デジタルクーポン債・マツダ株式会社)紹介ページを見ると、利回りについて以下の通り記載があります。

利回り計算

初回利払日:2016年9月28日は年14.60%(税引前)、2回目の利払い日~満期償還日までの利回りは以下の通り計算されます。

  1. 利率評価日におけるマツダの株価終値が、利率判定水準以上の場合:年14.60%(税引前)
  2. 利率評価日におけるマツダの株価終値が、利率判定水準未満の場合:年0.10%(税引前)

※利率判定水準とは運用開始時の株価×85%を指す

なるほど。

投資した時の株価×85%が利率判定水準となるということです。

すなわち、利率評価時に投資時点から株価下落が15%に達してなければ、年利14.6%相当もの利払いを受け取ることができる、15%以上も下落してしまっていたら、年利0.1%相当しか利払いを受け取れないということですね。

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(引用:マネックス証券のデジタルクーポン型・マツダ株式会社のページより)

早期償還判定

上記の話を聞くと、デジタルクーポン債の参照株式の株価が大きく下落しなればずっと高利回りの配当を受け取ることができるように聞こえますね。

しかし、実は株価が上がり過ぎた場合は、債券が満期より前に償還されるイベント:早期償還が起きることがあります。

デジタルクーポン債券が早期償還されるのは、3ヶ月毎の「早期償還評価日(※)」に参照株式の株価終値が早期償還の判定水準を超えた場合です。

今回、事例として取り上げているデジタルクーポン債・マツダ株式会社で言えば、早期償還判定水準は当初価格×105%を超えた場合となっています。

つまりデジタルクーポン債の運用が始まって以降、判定日に当初株価に対して5%以上株価があがっていた場合は、判定日の当該利払いをもって運用終了となってしまうわけです。

5%の株価上昇なんて普通にあるので、厳しい基準に見えますね

※早期償還評価日:満期日を除いた各利払日の5営業日前

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(引用:マネックス証券のデジタルクーポン型・マツダ株式会社のページより)

ノックイン判定

デジタルクーポン債は元本割れするケースもあり、その時に起きるイベントがノックイン判定です。

ノックイン判定とは、運用期間中にマツダの株価がノックイン判定水準=当初価格×65%未満となった場合に発動されます。

ノックインが起きると、満期償還額がマツダの株価に連動することになるため、満期時の株価が当初価格より下がっていると、結果的に元本割れということになるわけです。

※ノックイン判定の株価まで下がらなかった場合、株価がいくら下がっていようが満期時の償還金額は元本100%

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(引用:マネックス証券のデジタルクーポン型・マツダ株式会社のページより)

まとめ EB債/デジタルクーポン債の投資家損益

ここまでご説明した内容をまとめたのが下図となります。

つまるところ、投資家が損をするケースは、参照株式銘柄の株価がノックイン判定水準まで下がる場合です。

今回取り上げたデジタルクーポン債・マツダ株式会社の例でもそうですが、ノックイン判定は35%下落とかなり大きな下落水準となるため、一度ノックイン判定された後に株価が当初価格まで戻るというのは至難の技でしょう。

逆に、運用期間中にノックイン判定まで株価が下がるリスクが極めて低いと判断できるのであれば、0.1%~10数%もの高利回りを得ながら元本も保証される商品ということになります。

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(引用:マネックス証券のデジタルクーポン型・マツダ株式会社のページより)


以上、本日はここまで。

デジタルクーポン債、いかがでしたか?

ノックイン判定まで株価が下がった時の損失額の大きさが怖いですし、昨今の株価の起伏の激しさを考慮すると、投資しづらい商品だと私は感じました。

参照株式銘柄の将来展望をしっかりできるかが肝ですね。

それでは!

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