ここ最近、米国株式の下落が目につきます。
2016年は中国上海市場や日経平均株価が大きく値を下げたり、Brexitに伴うEU諸国の株式相場の混乱などいろいろありましたが、そんな中でも堅調だった米国株式。
その米国株が2016年年末に差し掛かるところで不調に陥っています。
主な要因は大統領選挙の行方が不透明になってきており、特にトランプ大統領の誕生を懸念する動きとも言われています。
今、米国株式市場に何が起きているのでしょうか?
大統領選挙の行方と米国株の反応
大統領選挙を巡っては、共和党候補のドナルド・トランプ氏と民主党候補のヒラリー・クリントン氏の支持率が高く、一騎打ちの様相となっていることは周知のことかと思います。
経済政策の見通しがつきにくいトランプ氏が勝利する可能性が広がると、株式市場では警戒が広がってしまい、運用リスクを避ける売りが先行すると言われています。
先月10月までは、とあるリサーチ会社からの発表でクリントン候補の勝率は95%以上とも言われていました。
しかし今月11月に入って、FBIによるクリントン候補のメール私用問題の追及が再開されることが報道されると、クリントン候補の勝率は70%まで低下してしまい、それに反応するかのように米国株の下落が始まりました。
その結果、米国株の代表的な指標:S&P500は9営業日連続で値下がり、大企業で構成されるダウ工業株平均が7営業日連続で値下がりしました。
米国株のリスク回避の動きに合わせて、為替市場でもリスク回避の円高の動きが出ており、11月4日には1ドル103円前後で推移しています。
(引用:Yahooファイナンス 2016年11月5日時点)
米国株式相場は大統領選挙の結果を知っている?
過去の大統領選挙を振り返ると、投票日直前までの株式市場の動向と大統領選挙の結果との間にある規則性があると言われています。
その規則性とは、大統領選挙3カ月前からの株価パフォーマンスが下落(赤色▼)していれば現職候補の正当が負け(Lost)、株価パフォーマンスが上昇(緑色▲)していれば現職候補の政党が勝つ(Won)という法則です。
この規則性は迷信ではなく、米国のリサーチ会社:ストラテガス・リサーチ・パートナーズと金融情報サービス会社:ブルームバーグがまとめた列記とした調査結果です。
両社の調査によると、1928年以来の大統領選挙で22回中19回も予想が当たってきたそうです。
下図はこの規則性の確からしさの確認のため、1976年以降の大統領選挙におけるS&P500株価指数と選挙結果をまとめたものです。
大統領選挙3カ月前からの株価パフォーマンスが下落(赤色▼)していれば現職候補の政党が負け(Lost)、株価パフォーマンスが上昇(緑色▲)していれば現職候補の政党が勝つ(Won)がほぼ確実に成立しています。(下図ではわずかに1980年だけハズレ)
米国株式相場が語る次期大統領は?
では上記の規則性を当てはめた時、どちらが大統領になると予想できるでしょうか?
大統領選挙の投票日は現地の11月8日ですので、その3カ月前は8月8日となります。
では2016年8月8日のニューヨークダウ平均株価はというと18,500を超えていました。
現在のダウ平均株価が17,888なので、週明け11月6日~8日の間に600以上もの差を埋めるのは困難かと思います。
では上記規則性に当てはめてみると、「大統領選挙3カ月前からの株価パフォーマンスが下落(赤色▼)していれば現職候補の政党が負ける」という予測が立ちます。
つまり、ダウ平均株価はドナルド・トランプ氏の勝利を予想しているというわけです!
トランプ大統領の誕生が与える株式への影響
米国株への影響
バークレイズのストラテジストによると、トランプ大統領が誕生すれば、米国の株式市場は11~13%も下がると予想されています。
特に問題視されているのは、トランプ氏のナショナリスト的な姿勢です。
あまりにも自国優位な政策ばかり推し進めようとすると、米国よりはるかに苦境にある世界経済に壊滅的な打撃を与える恐れがあるためです。
仮にバークレイズのストラテジストの予想が当たった場合、NYダウは2,000近く下がることになり、株価の下落だけでなく、予定されているFRBの12月利上げまでも先送りになる恐れもあります。
日本株への影響
多くの識者の見解は、トランプ大統領の誕生は日本株式にとってマイナスに働くと予想されています。
トランプ氏は貿易政策や移民政策における「内向き」思考を持っているため、TPPに反対すると考えられています。米国がTPPから離脱すれば、これまで協調してきた日本経済にネガティブに作用するでしょう。
また、日本が米軍駐留経費の全額負担を強いられれば日本の財政にとってネガティブですし、日本が応じなければ米軍撤退も辞さない姿勢も示しています、
さらに為替についてもドル安方向へ誘導するような政策を取ることが予想され、日本にとっては円高=経済的ダメージは免れないでしょう。
以上、本日はここまで。
アメリカ大統領選挙の結果、ドナルド・トランプ氏が当選した場合の株式市場への影響について見てきました。
トランプ氏の選挙票数の期待値がちょっと上がっただけでも株式市場は大混乱、米国株が急落という流れになっているのに、本当にトランプ大統領が誕生しまったらどうなってしまうのでしょうか。
来週、いよいよ大統領選挙の本番を向かえるので、しっかり選挙と株式市場の両行方を注視していきます。
それでは!
コメント
大変興味深い記事有難うございます。経済は安定であったほしい反面、トランプ候補が大統領になったらどうなるんだろう、というワクワク感が相まっている心境です。
数年前の日本での民主党与党が誕生する前と同じ心境かもしれません。結果的には政策不能等で失敗だったかもしれませんが、普段選挙に興味のない私が期日前投票に行ったことを思い出しました。
何れにせよ、今週火曜・水曜が楽しみです。
つかなみさん
いつもコメントくださり、ありがとうございます。
今回の記事ではトランプ大統領誕生に伴う株式価格への懸念に関して書きましたが、わたしも個人的にはワクワクしてます。
最近は株も不動産も割高感を感じていますので、トランプ大統領の誕生が大きな調整のきっかけになれば、なんて空想しています。
今週の大統領選挙の結果、楽しみに待ちましょう!
A氏様
トランプ氏が勝ちましたね!
これから様々な変化、変革があり、それによる弊害もあるかもしれませんが、良い方向へ向かってくれることに期待しています。
私にとって印象的だったのが、クリントン氏の敗者としての振る舞いです。自分の敗北を正式に認め、トランプ氏との協調姿勢を示したことです。腹の中は悔しくて仕方ないはずなのに。その辺は幼少時からしっかり教育されているのだな、と感じました。
これまでクリントン氏には良い印象を持っていなかったのですが、今回の敗北会見で好印象を持つようになりました(皮肉なことですが)。
つかなみさん
コメントくださりありがとうございます。
周囲の予想に反して、トランプ氏の快勝でしたね!
確かにクリントン氏の引き際は素晴らしかったと思います。エリート育ちだけあって、お行儀の良い引き際でした。
逆にトランプ氏が負けてたら、超下品だったかもしれませんね(笑)
トランプ政権が発足し、これから経済がどうなっていくか楽しみです。このブログでもいろいろ取り上げていきたいと思います。