先日の投稿で、オウチーノ社が行っていたモンゴル不動産で貸し倒れ懸念が生じていることをご紹介しました。
このモンゴル不動産投資は、ウランバートル都市開発プロジェクトとしてオウチーノ社が主催のセミナーにもなっていたため、その滑稽さからTwitterなどのSNSでもかなりの話題となっています。
モンゴルの不動産投資で騙されーの、1.6億円が溶けかけーの
オウチーノ、モンゴルで純資産の2割が回収不能になりアウチーノ
実は私もこのモンゴル不動産投資のセミナーに参加し、このブログでも期待が持てる投資商品として紹介していただけに、ことの経緯や真実、個人投資家への影響を知りたいと強く思っていました。
そこで今回、ウランバートル都市開発プロジェクトの責任事業者:スタンダードプロパティ社へ独占取材を行いましたので、ご紹介したいと思います。
スタンダードプロパティ社から話を聞いてみた
取材を行ったのがなぜスタンダードプロパティ社だったかと言うと、オウチーノ社はすでにプレスリリースを出しており、あの内容が公式見解で間違いありません。
2016.10.11 連結子会社における債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせ
一方でスタンダードプロパティ社からの声明は何も伝わっておらず、もう片方にも何か言い分があるのでは?と思ったからです。
取材の概要
取材時期:10月中旬
取材先:スタンダードプロパティ社の社員
取材方法:メールでのやりとり
今回の取材の結果、意外な事実が判明しました。
Q1 ウランバートルのアパート建設状況
A氏 質問
現在、オウチーノ社が保有する予定だった建物は出来上がっているのでしょうか?やはり未完成なのでしょうか?
スタンダードプロパティ社 回答
オウチーノ社が保有予定であった建物は初年度の物件ですが、現在は既に建設は完了し、実際に入居も開始されております。
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「オウチーノ社の保有予定だった物件は初年度」とありますが、2015年に投資家を募り2016年に完成・販売予定だった第一期物件を指しています。
オウチーノ社のプレスリリースによると、「2016年5月31日引き渡し予定時点でアパートが完成していなかった」とあります。
確かに5月末時点ではできてなかったのでしょうが、実はこのプレスリリースが出された10月時点では完成して販売もされているようです。
Q2 工事遅延の理由
A氏 質問
工事の完了期日までに建設が完了しなかった理由を教えてください。
スタンダードプロパティ社 回答
開発プロジェクトにおいては特に海外に限らず期限が遅れること自体は珍しいことではございません。
但し、モンゴル特有の原因としては、気候の急激な変化による遅延 、政府や市の手続きの遅延などによる現場への影響などがございます。
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なるほど、確かに遅れること自体はありますよね。
しかもその数か月後には完成して販売も始めているわけですから、オウチーノ社との契約上の引渡し期日だった2016年5月末時点においても、間もなく完成しそうという惜しいところまで進んでいたことは容易に想像できますね。
Q3 オウチーノ社との交渉の状況
A氏 質問
オウチーノ社との交渉の状況、及び解決見込みは経っているのでしょ うか?
スタンダードプロパティ社 回答
同社の公表内容は事実に反した内容も含まれており、 双方の見解の相違によるものと認識しております。
本件につきましては事実関係を明確にした上で、 関係当事者にとって更なる問題の深化に至らぬよう、 交渉を進めて参りたいと存じます。
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Q1~Q2の内容とオウチーノ社のプレスリリースの内容を見比べれば、双方の見解が異なるのは明らかですね。
Q4 個人投資家への影響
A氏 質問
個人投資家も同じ投資商品を第一期・二期と購入していたはずですが、やはり未完成の状況でしょうか?
スタンダードプロパティ社 回答
上述のとおり第一期はオウチーノ社所有予定だった物件であり、既に完成しています。
個人投資家の方には予定どおり決済を完了いたしております。
一方、第二期の完成予定は来春でありましたが、経済環境等の状況を踏まえ、一旦工事を中断しております。
なお、本件既に投資家の皆さまにはお伝え済みですが、第二期への投資資金につきましては契約書に基づき、現金により決済をさせて頂く予定としております。
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まずは第一期分の不動産は決済を完了しているということです。
第二期分は工事が中断となっていますが「契約書に基づき現金決済となる予定」とあるので、おそらく引き渡し期日到来日あたりで、予定利回りを上乗せした形で投資家へ返金することになると思われます。
以上のことから、現時点では個人投資家が損失を被る事態にはなっていないし、今後も返済予定ということです。
この回答で気がかりな「経済環境の状況を踏まえ、工事を中断」についてですが、これはモンゴル国内の景気が悪化していることがあげられます。
今回のウランバートル地区アパートメント開発の前提にあるのが、現地のアパート購入者は国家から支援を受けて低金利で住宅ローンを借りることができる、という点です。
国内の景気が悪化し、低金利の住宅ローン支援が打ち切りになるかもしれない・・・という懸念から、プロジェクトがいったんストップされているようです。
以上が私の独自取材を通して得た情報です。
今回の一件が違った風に見えてくるのではないでしょうか?
オウチーノ社のプレスリリースへの疑問
取材を終えて、オウチーノ社のプレスリリースが一方的すぎるのでは?という思いがこみ上げてきました。
あのプレスリリースだけ読むと、アパートメントは完成していないし、お金が戻ってくる可能性も不明という印象が強く残ります。
しかし実際はアパートメントは完成して販売されているし、個人の投資家の決済は済んでいる状況です。
オウチーノ社は契約書で取り交わした通りに現金回収を急かしているのでしょうが、プロジェクトを一緒に進めてきた同社にとって正しい姿勢と言えるのでしょうか?(そんなことを思うわたしが甘いのでしょうか?)
またアパートメントが完成していること、個人投資家への決済が進んでいることなども伝えていません。
セミナーを主催しただけの立場でオウチーノ社に義務はないのでしょうが、道義的には疑問を持ってしまいます。
以上、本日はここまで。
普段の生活においても、もめごとは片方の言い分だけ聞くと事実と違った内容が伝わってくることがあります。
今回のモンゴル不動産に関するスタンダードプロパティ社への取材を通じて、やはり双方の言い分を聞いて総合的に判断していく必要があると思いました。
とは言っても、まだ第二期分の決済は終わってませんので、油断はできません。
今後も定期的に情報収集していきたいと思います。
それでは!
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