前回の投稿では、米国株の好業績・高配当銘柄についてご紹介しました。連続増配トップ10企業を詳細分析して、投資先を決めるのが良いのでは?と見解を書かせてもらいました。
さて今回の投稿では米国大統領選挙と株価への影響について書きたいと思います。
来月11月に迫った大統領選挙の本投票の結果が、今後の米国株の動きに大きく影響すると言われています。
ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプ、どちらが勝った時に株式市場へどのような影響を与えるのか、専門家の意見を参考に見解をまとめてみました。
株式市場は大統領選挙の結果を知っている
唐突ですが、大統領選挙の結果は株式市場を見ればわかるという大胆な証言をご紹介します。
どういうことでしょうか?
米国のリサーチ会社:ストラテガス・リサーチ・パートナーズと金融情報サービス会社:ブルームバーグがまとめたデータによると、大統領選で現職大統領が所属する政党か挑戦者のどちらかが勝利するか、米株市場が1928年以来で22回中19回正確に予想してきたというものです。
つまりは、本戦前の数カ月間(下図によると選挙前3カ月間)に株価が上昇している時は、現職大統領所属の政党が86%勝利していることが分かっているということです。
下図は1976年以降の大統領選挙におけるS&P500株価指数と選挙結果をまとめたものです。
大統領選挙3カ月前からの株価パフォーマンスが下落(赤色▼)していれば現職候補の正当が負け(Lost)、株価パフォーマンスが上昇(緑色▲)していれば現職候補の政党が勝つ(Won)がほぼ確実に成立しています。(下図ではわずかに1980年だけハズレ)
(画像引用:ブルームバーグ社の記事より)
今回の大統領選挙は11月8日となっていますので8月9日~11月8日のS&P500指数の増減を見ていれば良いことになります。
8月以降のS&P500指数は過去最高値あたりで推移しており、上がるか下がるかの一進一退を繰り返しています。ということは、株式市場はどちらが勝利するか迷っている状況と言えるのかもしれませんね。
いずれにしても米国大統領選挙の結果を事前予想するうえで重要な分析だと思います。
ヒラリー・クリントンが勝利した場合
ヒラリー・クリントンが勝利した場合、政治家として経験豊かだし国務長官も歴任しているだけあって、責任ある発言を堅持すると考えられています。
よくもわるくも「まあまあ」で過去を踏襲する政策になると予想され、株式市場の反応は薄いといった声が聴かれます。
株式市場へのプラスの影響
ヒラリー・クリントン氏は防衛に関してはタカ派で知られています。
そのためヒラリー・クリントンが勝利すると、防衛産業が恩恵を受けるとの思惑から買いの動きが強くなる可能性があります。
株式市場へのマイナスの影響
ヒラリーが大統領になった場合は増税の可能性、企業に対する規制強化の可能性、シェール企業への締め付けが強化されるのでは?という見解があります。
株式市場への影響は現状維持、あるいはどちらかと言うと株価へのマイナス影響が多く取り上げられています。
ドナルド・トランプが勝利した場合
選挙戦の開始当初は、ドナルド・トランプが共和党の代表になるなんて予想をしていた人はほとんどいないくらい、意外な出来事だったようです。
そして今回の大統領の決戦選挙でもヒラリー・クリントンが優勢と見られています。
その分、ドナルド・トランプが勝利した時の方がサプライズ感が大きく、株式市場への影響も大きいと言われています。
株式市場へのプラスの影響
ドナルド・トランプは公共工事が大好きで、アイゼンハワー型の景気刺激策を実施すると公言しています。そのためはインフラストラクチャ関連企業にとってはプラスの影響を与えます。
また財務長官にカール・アイカーンを起用すると発言しており、カール・アイカーンもトランプの提案を受け入れる声明を出しています。
カール・アイカーンはアメリカで最も成功している投資家の一人であるため、財務長官就任時には、企業びいきな株価重視の政策が取られることが予想されます。
株式市場へのマイナスの影響
トランプ候補が勝った場合、オバマ政権や民主党が推し進めてきた施策を覆す可能性があります。
オバマケアが代表的な例で、ユナイテッド・ヘルスケア(UNH)やテネット(THC)に代表される、ヘルスケア・サービス・プロバイダーの株が下がるリスクがあります。
また海外で収益や資産を蓄える企業に対して厳しく規制する可能性があります。
例えば、アップルをはじめ海外に利益の多くを留め置いている企業は、一律での財産税が課せられるリスクがありまし、ファイザーやフォードなど工場を海外移転した企業についてはペナルティとして関税をかけられる恐れさえあります。
アメリカ内需に強い企業の方が株価のマイナス影響を受けにくいと言えるでしょう。
まとめ 米国大統領選挙と株式市場への影響
●ヒラリー・クリントンが勝利した場合は良くも悪くも現状なみの相場が続くと予想される
●ヒラリー・クリントンの勝利は防衛産業が恩恵を受ける可能性がある
●ドナルド・トランプが勝利した場合は株式市場にとってもサプライズであり、プラス・マイナスの作用が大きく出る可能性がある
●ドナルド・トランプの勝利は、外需で大きく利益を出している企業にとってはマイナスで、内需に強い企業にとってはプラスである
●ドナルド・トランプの勝利は公共事業関連の企業が恩恵を受ける可能性がある
最後に楽天証券が推奨の大統領選挙関連銘柄を紹介して締めといたします。
民主党(ヒラリー・クリントン)が勝利した時の推奨銘柄
ティッカー | 銘柄名 | 主要取引所 | 業種 |
LMT | ロッキード・マーティン | NYSE | 防衛 |
USCR | USコンクリート | NASDAQ | 素材 |
(引用:楽天証券の「米国大統領選挙 関連銘柄特集」)
共和党(ドナルド・トランプ)が勝利した時の推奨銘柄
ティッカー | 銘柄名 | 主要取引所 | 業種 |
GVA | グラナイト・コンストラクション | NYSE | 建設会社 |
CAT | キャタピラー | NYSE | 建設機械 |
JEC | ジェイコブズ・エンジニアリング | NYSE | 建設会社 |
FLR | フルアー・コープ | NYSE | 建設会社 |
KBR | ケー・ビー・アール・インク | NYSE | 建設会社 |
VMC | ヴァルカン・マテリアルズ | NYSE | 建設資材 |
MLM | マーチン・マリエッタ・マテリアルズ | NYSE | 建設資材 |
(引用:楽天証券の「米国大統領選挙 関連銘柄特集」)
以上、本日はここまで。
今回の投稿のなかで、相場は大統領選挙の結果を知っているという過去の調査は本当に興味深いものでした。
今後も相場を注視することで米国大統領選挙の結果発表前にどちらが勝利するか予想し、勝利した時にプラスに作用しそうな銘柄を仕込んでおくのも面白いでしょう。
それでは!
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