ワイン投資ファンドをご存知でしょうか?
私は、「ワイン投資ファンドの運営会社が破たん」というニュース記事でその存在を初めて知ったのですが、記事によると運営会社:ヴァンネット社が詐欺行為を働いていた模様です。
一投資家として最も許せないのは運営会社が投資家に嘘をつくこと、すなわち投資詐欺であると私は思っています。投資家の力量云々の前に負けることが決まっているなんて絶対許せないじゃないですか。
さて今回の投稿では、今後、ブログ読者や私自身がワイン投資ファンドのような詐欺に巻き込まれないようにするため、ワイン投資ファンド事件の詳細をリサーチしたいと思います。
ワイン投資ファンドとは
フランス産を中心とした高級ワインは値上がりが続いています。主な要因は、新興国の経済成長を背景に、高級ワインの流通量が増えてきていることが上げられます。またこうした需要増を見越して、投資目的でワインを大量購入する人も増えています。
ヴァンネット社はこうしたワインの需要増→価格上昇の流れに目を付け、広く個人投資家から資金を集めて、2001年からワインファンドを運用するビジネスを開始しました。スキームは下図の通りです。
(引用:格差脱出研究所)
上図の通り、ワインファンド運営会社内の目利きがワインを買いつけ、専用の保管庫でしばらく寝かせて高値で売却していくことで儲ける、というのが基本スキームです。
日本で唯一のワインファンドということで一部の投資家の間では人気となりました。また、内藤忍さんなど著名人もワインファンドを推奨するメッセージを発出していたため、かなりの資金が集まったそうです。
帝国データバンクの情報では、現時点で出資金が償還されていない出資者は523名も残っているそうです。未償還の出資金は約36億7372万円、つまり1名あたり700万円もの出資金が戻っていないことになります。
ヴァンネット社とは
ワインファンドの運営会社であるヴァンネット社は、当初、税理士の北田朝雪氏が代表取締役を務め運営されていました。
2001年4月~2014年6月の期間に、総数25本のワイン投資ファンドを組成し、延べ1989人の出資者が総額77億4600万円を投資していました。
現在の代表は酒販店出身の高橋淳氏が引き継いでいます。
ヴァンネット社への行政処分、そして破たんへ
2015年12月25日クリスマスというハッピーな日に事件は起きました。
関東財務局はヴァンネット社に対して、関東財務局長(金商)第1577号の登録を取り消す行政処分を行ったのです。その際に、以下の業務改善命令が下されました。
1)顧客に適切に説明し、問い合わせ等に対しても十分に対応すること。
2)会社財産を不当に費消しないこと。
3)運用財産について、顧客間の公平に配慮しつつ、管理を徹底するなど万全の措置を講じること。
4)上記の対応・実施状況について、完了までの間、書面により随時報告すること。
合わせて以下の指摘がありました。
ヴァンネット社から提出された報告書等によると、同社は、これまで複数のファンドの取得勧誘を行っているが、過去に償還を迎えたファンドにおいて、別のファンドの資金を流用することにより、実際の運用実績とは異なる高い運用利回りで償還金等を支払っていた。
同社は、こうした状況を認識しながら、新たなファンドの取得勧誘を行っていた。
つまるところ、ヴァンネット社のワイン投資ファンドの実態はこういうことです。
既存ファンドの利回りはマイナスになっていたわけで、配当金も払えないし、投資元本も返せない状態になっていました。そこで既存ファンドの定期的な配当金や、償還を迎えたファンドの償還金に対して、新たに組成したファンドで募ったお金を充当する行為を行っていました。
このような投資詐欺行為はポンジスキームや自転車操業と呼ばれており、過去にMRIインターナショナルや安愚楽牧場で行われていたやり口と似ています。
そして翌2016年3月7日、ヴァンネット社は破産手続きを開始しました。
ワイン投資ファンドを詐欺と見抜く方法はあったか?
ワイン投資を詐欺と見抜くチャンスはあったのでしょうか?
こうした商品はまっとうな投資商品との違いを外見的に見分けることは難しいと言えます。ホームページがしっかりしていて、雑誌や新聞などで派手に広告を打ったり、立派なセミナーイベントなどを開催しているからです。
さらにヴァンネット社のワインファンドは、著名な投資家である内藤忍氏のお墨付きもついていたわけで、騙される人がたくさんいてもおかしくないでしょう。安愚楽牧場の時も政治家が宣伝広告に利用されていたことも手伝って、多くの被害者を出しました。
そんな中で私の経験に基づくアドバイスを1つだけさせていただくと
会社の代表や役員を徹底的に調べ上げる
これが重要だと考えます。
まず投資すると決めたら、代表や役員の過去の経歴を調べまくります。
さらに主催のセミナーに参加して、代表や役員の話をよく聞く、よく質問することが重要です。その際に投資詐欺の臭いがする商品は以下の特徴があると思います。
●数字でなく感情に訴えかける言葉を多用する
●著名人のお墨付き的な話が出る
●元本の安全性をやたらと強調する
●運営が匿名組合や私募である
しっかり自分の足を使って情報収集し、自分の頭で客観的に考えることが大切です。それができない上にこのような商品に投資をするのであれば、捨てても諦めのつく程度の金額を投資すべきだと思います。
ヴァンネット社の不正に気付くチャンスはあったか?
ヴァンネット社の代表であった北田氏は、投資助言会社:株式会社コンサルティング・アルファの代表も務めていました。
このコンサルティング・アルファ社ですが、実は不正を働いて2014年に行政処分を受けていました。具体的には「無登録で海外ファンドに係る募集又は私募の取扱いを行っている状況」として、2014年8月から3か月の業務停止および業務改善命令という行政処分を受けていたようです。
「無登録で海外ファンドに掛る~」というのは、投資助言を語りながらも実質的に海外ファンドの斡旋を行う行為になります。このブログでもご紹介したことがある「いつかはゆかし」のアブラハムグループと同じようなスキームです。
不正な投資勧誘を行っていた会社の代表=ワインファンド運営会社の社長ということに気が付けば、少なくとも2014年8月以降でワインファンドに出会った人は投資を実行に移さなかったでしょう。既存の投資家も途中解約などの打ち手があったかもしれません。
繰り返しとなりますが、成熟していない投資商品は慎重に調べ、投資詐欺に巻き込まれることがないか?しっかり確認して投資をすることが大切です。
私も最近たくさんの新興投資商品にチャレンジしてます。ソーシャルレンディングのmaneo、ロボアドバイザーのTHEO、仮想通貨のbitFlyerとエターナルコイン。
これらに投資する際、企業の沿革や代表を含む役員の情報収集、説明会への参加など、徹底的に調べ上げたうえで投資するようにしています。(実はエターナルコインだけ雑な調査で、騙されても良いと思ってますが、5万円しか入れてないし(笑))
以上、本日はここまで。
ヴァンネット社のワインファンドは、投資家を欺く許せない行為でした。ファンドがうまくいってないなら、正直にそう言って欲しいものです。そうすれば、投資家は自分の見る目がなかったと諦めがつくというものです。
これからも投資詐欺行為には厳しく糾弾していきたいと思います。
それでは!
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