日本ライフ協会が破産したというニュースが話題になっています。
毎日新聞の記事によると、「高齢者からの預託金を流用し、同種事業者と事業譲渡契約を結んだ「日本ライフ協会」(東京都港区、浜田健士代表)が、一転して破産する見通しとなった」と記載があります。
いったい何があったのでしょうか?高齢者が預けたお金は戻ってくるのでしょうか?
日本ライフ協会の破産事件の概要
日本ライフ協会は、高齢者から預かった預託金を職員の賞与や運転資金などに流用した問題で、金融庁から是正勧告を受けていました。
その後、民事再生手続きをして、一般社団法人の「えにしの会」が事業を引き継ぐ予定でした。ところが、えにしの会が金融機関へ融資を申し込んだところ、融資が受けられなかったために事業計画の実施見込みが立たなくなり、えにしの会から契約解除の申し入れがありました。
事実上、日本ライフ協会の破産が決まりました。
日本ライフ協会のビジネスモデル
ここで、ライフ協会のビジネスモデルについて確認してみます。
まず、高齢者から預かった預託金は、どのようなサービスに対する代価なのでしょうか?
協会の公式サイトによると、「身元保証・暮らしのサポート・万一の時の支援・葬送支援」の事業を行っているとのことです。ちなみに身元保証とは、核家族化が進む現在、近くに頼れる身内がいない高齢者が増加しているため、老人ホームや入院時の身元保証任をする役割のことです。
これらのサービスに対して、代表的なプランの場合、利用者は約165万円を協会に支払っていました。そのうち約106万円はサービスに対する経費として協会に入り、残りの約58万円は将来の葬儀費用として、保全すべき預託金とされています。
本来、この預託金は第三者である弁護士が預からなくてはいけないものでした。この契約形態を「3者契約」と言います。(下図参照)利用者と日本ライフ協会と弁護士の3者による契約ということですね。
しかし一部の契約を「2者契約」、つまり利用者と日本ライフ協会が直接契約しているものがありました。
預託金の流用
2者契約が行われることで、本来別に管理すべき預託金が協会の管理の手に渡ってしまいました。その結果、2者契約の約9億円の預託金からなんと2億7412万もの巨額が引き出され、職員の賞与や事務所開設費に流用されたのです。
代表の浜田氏はこう語っています。
「預託金への認識が甘く収入と同じような感覚があった。(流用分は)契約件数が順調に推移すれば回復できると思っていた」
預託金は協会のお金ではなく、利用者のお金です。しかも、葬儀費用という大切な目的があるものに手をつけてしまうのは、認識が甘いどころの話ではありませんよね。詐欺と言われても仕方ありません。
預けたお金は返ってくる?
気になるのは預託金が今後どうなるかですが、契約に弁護士が介入する3者契約については全額返還されるそうです。ただ、第三者を介さない2者契約については、一部しか返還されないようです。被害総額はまだ明らかになっていませんが、2者契約の一部の人達のお金が全て返ってくることはいでしょう。
また、引き継ぎ業者がいないことから、サービスは3月末で打ち切られるそうです。そのため利用者の中には4月以降、入居中の老人ホームの退去を求められるかもしれない、という不安も広がっています。
こういったサービスを利用する人は、身元保証や葬儀で身内や他人に迷惑をかけたくないという気持ちがあった方が、ほとんどだと思います。少子高齢化が加速する中、高齢者を見守っていくのは国全体の役割です。
今回破産した日本ライフ協会のような民間業者に対しても、しっかり監督していくことが今後の急務になってくるでしょう。
以上、本日はここまで。
日本ライフ協会の事件のように集めた資金を事業者が目的外に使ってしまう、これは投資詐欺事件と構図が同じです。
この事件を受けて、一般消費者から集めた資金を守る制度を見直してほしいです。例えば、日本ライフ協会のようにお金を集める事業は、年に1回は特定の第三者機関から資金管理の評価を受けることを義務付ける。第三者評価がなければ、事業継続を認めないくらいのことがあっても良いのではないでしょうか。
それでは!
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